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「甘いものは別腹」は本当にある?15倍以上も膨らむ胃の不思議な構造とは?【人体の不思議】

Text:西野精治

伸縮自在の胃は、最大約15倍にも膨らむ!?

胃は、非常に膨張性に富んだ臓器です。成人の場合、空腹で何も入っていないときの容量は約100ミリリットルで、野球のボールくらいの大きさですが、満腹時には大きく膨らみ、最大で1.5リットル程度の食べものをため込むことができ、詰め込めばそれ以上に膨張するといわれています。

胃のおもな働きは送られてきた食べものを一時的に貯え、お粥のようにどろどろに消化して少しずつ小腸に送ることです。

胃は、胸部と腹部の境にある横隔膜より下方の左寄りのところに位置します。横隔膜の直下にあるのは肝臓だけなので、胃は残りのスペースを使い、自由自在に伸縮することがきるのです。

「甘いものは別腹」という言葉があります。通常、満腹になると脳の視床下部にある満腹中枢が、「もう十分」という信号を出して食べるのをストップさせます。

しかし人間は、好きなものを目の前にすると、「食べたい」という気持ちのほうが上回り、「オレキシン」という脳内ホルモンが分泌され、胃の筋肉を緩ゆるませ、たとえ満腹でも胃の中に新たな食べ物が入るスペースをつくるのです。

腹7分目が長生きのもとといわれる昨今、やはり、食べ過ぎには十分に注意が必要です。まだ食べられると思っても、少しもの足りないくらいでやめておきましょう。

ところで、一度に10キログラム以上の食べものを平らげるフードファイターの胃は私たちの胃とどう違うのでしょう。彼らはトレーニングによって胃の柔軟性を高め、許容量を少しずつ広げているので、本来の容量自体は普通の人とほとんど変わりません。

胃は、そのほぼ全部が筋肉でできているため、トレーニングで鍛えるのは有効な手段ともいわれています。しかし、危険性もあるので遊び半分で、真似をするのは止めましょう。

出典:『図解 人体の不思議』監修/荻野剛志

『眠れなくなるほど面白い 図解 人体の不思議』はこんな人におすすめ!

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以上の方には「図解 人体の不思議」は大変おすすめな本です。

テレビやインターネットには健康に関するさまざまな情報があふれており、スマートフォンで専門的な知識ですら手軽に検索することが可能です。しかし、これらの健康に関する情報にはさまざまな内容が含まれており、その真偽を含めた有用性(どれが大事な情報か)を判断することが難しい状況があるように思われます。

これらの情報の有用性を判断して有効に活用し、自分自身が健康であるためには、まず人間の“からだ”についてできるだけ正しい知識を持つことが重要ではないでしょうか?なぜならこの正しい知識を持つことが、巷にあふれる健康に関する情報に流されず、鵜呑みにせず、どれが有用な情報であるのかを判断できるようになる土台となるからです。

本書では、人間の“からだ”についての理解を深めるための基本的な疑問を取り扱い、図解を入れながら、わかりやすく説明しています。読めば皆様の“からだ”のことをもっと知ろうとする意欲を刺激し、さらに知識を得るための第一歩となってくれるはずです。

脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?

生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。

動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。

また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。

天才は生まれつきではない、幼少期がポイント

ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。

しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。

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【書誌情報】
『図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志

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