骨は生きている“若返り臓器”!
長い間〝体を支え、内臓を守るためのカルシウムのかたまり〟と思われていた骨ですが、最近は、骨が出すメッセージ物質が脳や体に働きかけてさまざまな機能を維持・向上していることがわかりました。とくに「骨芽細胞」が分泌するタンパク質のひとつ、「オステオカルシン」は、「記憶力」や「筋力」、そして男性の「精力」などをアップし、「活性酸素の除去」や「肌の活性化」にも効果がある〝若返り物質〟として注目を集めています。
オステオカルシンは、骨に0・4パーセントほど含まれる物質ですが、微量が骨の中から血管を通じて全身に届けられ、脳や筋肉、精巣などに働きかけます。また、同じく骨芽細胞が出す「オステオポンチン」というタンパク質も、老化や免疫にかかわる物質です。オステオポンチンが減少すると、骨髄内の免疫細胞の量が減少し、免疫力が低下してがんなどのリスクが高まるといわれています。
骨粗しょう症も骨が分泌する「スクレロスチン」という物質の異常発生が原因となっている可能性も高く、高齢者だけの病ではないとされています。ところで、「骨細胞」を増やし、骨粗しょう症を防ぐ飲みものの代表とされた牛乳ですが、最近では飲み過ぎると逆に骨粗しょう症の初期症状を起こすという説があります。
牛乳には1リットルにおよそ1200ミリグラムのカルシウムが含まれていますが、カルシウムが体内で代謝されるためのマグネシウムがほとんど含まれておらず、大量に摂取すると体内のミネラルバランスをくずす可能性があるというのです。しかし、科学的には実証されていません。骨は常に新陳代謝を繰り返して、毎日少しずつ入れ替わっています。全身の骨が入れ替わるには、成人でおよそ3年かかるといわれていますので、常に骨の量を増やし強くする努力は怠おこたらないでください。
『眠れなくなるほど面白い 図解 人体の不思議』はこんな人におすすめ!
・人間の体の構造について学びたい
・人体における不思議なメカニズムについて触れてみたい
・誰かに話したくなる体の雑学を得たい
以上の方には「図解 人体の不思議」は大変おすすめな本です。
テレビやインターネットには健康に関するさまざまな情報があふれており、スマートフォンで専門的な知識ですら手軽に検索することが可能です。しかし、これらの健康に関する情報にはさまざまな内容が含まれており、その真偽を含めた有用性(どれが大事な情報か)を判断することが難しい状況があるように思われます。
これらの情報の有用性を判断して有効に活用し、自分自身が健康であるためには、まず人間の“からだ”についてできるだけ正しい知識を持つことが重要ではないでしょうか?なぜならこの正しい知識を持つことが、巷にあふれる健康に関する情報に流されず、鵜呑みにせず、どれが有用な情報であるのかを判断できるようになる土台となるからです。
本書では、人間の“からだ”についての理解を深めるための基本的な疑問を取り扱い、図解を入れながら、わかりやすく説明しています。読めば皆様の“からだ”のことをもっと知ろうとする意欲を刺激し、さらに知識を得るための第一歩となってくれるはずです。
脳は重くてシワの数が多いほど頭がいいのか?
生物の体には不思議なポイントが沢山あります。そして特に最も神秘的なカラダの部位と言えば人間の脳です。まずは、人体の脳における不思議について解説しましょう。
動物と脳の関係を比較すると、一般に小動物ほど体重の割に脳が重く、逆に大型動物ほど軽いことがわかります。動物の脳と体重の間には、「脳の重量は体重の0.75乗に比例する」という規則性があり、これを「スケーリング」といいます。ただし、この動物界の普遍的な規則にあてはまらない動物がいます。それがヒトです。ヒトは、動物の中では例外的に大きな脳を持っているのです。
また、ヒトの場合、アインシュタインの脳が1230グラムと一般的な成人男性の脳(1350〜1500グラム)よりも小さかったことから、脳の大きさと頭のよさは関係ない、ともいわれます。しかし、カリフォルニア大学の「脳の大きさと知能指数(IQ)の関係」の研究では、わずかながら脳の大きな人ほどIQが高く、とくに「大脳皮質」の「前頭前野」と「後側頭葉」の皮質が厚い人のIQが高いという結果が発表されました。
天才は生まれつきではない、幼少期がポイント
ところが、さらに研究を進めると、皮質が厚くてもIQが高くない人がいることもわかりました。このことから「IQの高さは皮質の厚さより、脳が幼少期にどれだけ成長したかが重要」といわれてきました。この説を裏づけるように、IQが120以上の人の脳は、7〜9歳頃の幼少期にはむしろ平均よりも皮質が薄く、その後13歳まで肥大化し、厚みを増し続けていたとされ、幼少期の教育熱は高まりそうです。
しかし、一方でIQはあらゆる知能を網羅した数値ではなく、万能性がないことも把握する必要がありそうです。昔からよく「脳みそのシワが多いほど頭がいい」といわれます。しかし、脳のシワは胎児のときに大脳が形成される過程でつくられ、生まれたときにはすでにできあがっているため、成長してどんなに勉強してもシワの数は増えないそうです。
シリーズ累計300万部は伊達じゃない!豊富に使われた図解の圧倒的わかりやすさ
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【書誌情報】
『図解 人体の不思議』
監修:荻野剛志
「頭のよさは脳の大きさと関係ない?」「別腹は本当にある?」「恋愛は3か月で冷める?」「薄毛も肥満も遺伝のせい?」ーー科学が発達した現在でも「人体」は多くの謎と不思議に包まれ、最も身近で興味深く関心の高いテーマです。本書では、最新データや研究にも触れながら、人体のナゾとフシギを解き明かします。実際に役立つ知識と情報満載の1冊!
公開日:2023.11.09