体に老廃物が溜まって危険な状態に
腎臓は血液のろ過や水分調節など大事な役割を持っているだけに、その機能が低下すると全身に大きな悪影響を及ぼします。腎臓の調子が悪くなると、まず血液のろ過の機能が低下します。そうすると下の図のように、不要な水分や老廃物が排出されずに体内に残ってしまったり、逆に必要な栄養素まで尿に排出されてしまったりします。
不要な水分や老廃物が出されないと、それが体内に溜まってしまって尿毒症という病気になります。これは頭痛や吐き気などに襲われ、ひどい場合は全身けいれんや心不全なども起こす、非常に危険な病気です。また、必要な栄養素が尿に排出されてしまうと、貧血や骨粗鬆症などが起き、水分や電解質のバランスが崩れて体がむくみます。さらに、肺に水が溜まって呼吸困難に陥る場合もあります。
このように腎臓の機能低下は健康を著しく害し、ひどくなると死に至る、恐ろしい状態なのです。腎臓が少々悪くなった段階であれば、食事や生活習慣の改善でまだ対処が可能ですが、末期症状である末期腎不全に至ってしまうと、人工透析(透析療法)や腎臓移植などが必要になります。本書では腎臓を悪くしないための方法を2章と3章で紹介していますので、ぜひよく読んで腎臓の健康を心がけてください。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 腎臓の話』著/上月正博
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 腎臓の話』
著:上月 正博
血液をろ過する、尿をつくる、水分や塩分、ミネラル量などを一定に保つなど、数々の重要な役割のある臓器『腎臓』。普段はあまり意識することはないものの、人間の体の中で非常に大きな役割を果たしています。しかし、加齢をはじめ、生活習慣病などで悪くしてしまうと、人工透析が必要になってしまうなど、健康寿命に直結する臓器でもあります。本書ではそんな腎臓を長く健康に保つために、腎臓の名医による、腎機能を正常に保ち、いつまでも健康でいられるコツを紹介します。『そもそも腎臓の役割って?』という基本的な知識はもちろん、1300万人以上いるといわれる『慢性腎臓病(CKD)』の話、さらに自分や家族に使える『腎機能を高める食事法』、『透析中もできる『腎リハ』』などをイラスト、図解でわかりやすく解説します。人生100年時代を長く健康に生き抜くために誰でも参考になる一冊です。
公開日:2023.02.03