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肩が不調の場合、原因は肩そのものではなく上下の部位にある? チェック&トレーニングの新発想!【スポーツ障害予防の教科書】

Text:土屋真人

肩に過度の負担がかかるのは?

肩の痛みの「要因」は肩の上下の部位にある

肩への過度な負担がかかるケースを考えてみます。まずは一般的に多い誤解についてですが、上肢とは鎖骨から先を指します(画像1)。ところが多くの方は上肢とは上腕骨から先のこと(画像2)だと認識しています。そのため腕を挙げようとしたときに上腕骨から先を動かそうとするのですが、純粋に上腕骨から先が挙がるのは肉眼的には90度弱くらいになります。我々が耳の横辺りまで大きく腕を挙げられるのは、「肩甲帯」(肩甲骨と鎖骨)が動いているからなのです(画像3)。

上肢の認識など【スポーツ障害予防の教科書】

画像1 上肢の認識

画像3のように、肩甲帯とは肩甲骨と鎖骨のことを指す。肩甲帯が動くことで、耳の横辺りまで大きく腕を挙げられる。

画像2 一般的な上肢の認識

多くの方は、上肢とは上腕骨から先のことだと認識している。

画像3 肩甲帯とは

肩甲帯とは肩甲骨と鎖骨を指す。

さて、 「腕が挙がらない」という方は、肩甲帯が十分に動いていない人が圧倒的に多くなります。さらに、一度その場で背中を丸めた状態(猫背)で横から腕を挙げてみてください。どうでしょうか?挙げにくいと思います。胸郭部・伸展(反る)の動きが不十分な状態で、肩甲骨も前に出て腕を挙げにくい形です。続いて今度は背中を伸ばして(胸郭部を伸展して)腕を挙げてみてください。するとやりやすいと思います。このように「腕が十分に挙がらない」 「肩が痛い」といった方は、実は肩甲帯や胸郭部の動きが十分できないために肩に過度の負担をかけている可能性があります。「胸郭部」や「肩甲帯」「骨盤部」「股関節」など肩以外の部位が十分に動いていないことが肩に過度の負担を与え、痛みやケガののリスクを高めることにつながります。
特に野球やテニス、水泳といった肩よりも高く腕を挙げるスポーツでは、肩への負担を軽減するためにも、他の部位に目を向けてください。

身体にやさしい動きと、肩に過度な負担がかかる動き【スポーツ障害予防の教科書】

肩に過度な負担がかかる動き

胸郭部が伸展できないと肩甲骨も前に出たままになるので、横から腕を挙げると肩に負担がかかる。

身体にやさしい動き

胸郭部が伸展できると肩甲骨も内転(後ろに引く)できるので横から腕を挙げやすい。

不調部位が肩の場合【スポーツ障害予防の教科書】

不調部位が肩の場合

〇部位運動(痛くない部位の運動)

不調のある肩のとなり部位から順にみていき、十分にできなくなった基本運動をできるようにしてあげます。

不調の肩は〇方向運動

肩の基本運動
①腕・前への動き(屈曲)
②腕・後ろへの動き(伸展)
③腕・外方への動き(外転)
④腕・内方への動き(内転)
⑤腕・外ねじりの動き(外旋)
⑥腕・内ねじりの動き(内旋)
のうち、痛くないor不快感がない動き(=〇方向運動)を行います。
※〇方向運動がない場合は行いません。

出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』

【書誌情報】
『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』
土屋真人

スポーツと姿勢は重要な関係にあり、姿勢が歪んでしまうと筋肉・柔軟性・可動域・バランスなどに影響を及ぼします。姿勢はちょっとしたことでも狂ってしまいますが、その修正方法を多くの選手は知りません。本書は姿勢を改善することでパフォーマンスをアップさせるとともに、ケガの予防にも役立つために、なぜ不調や痛みが生じるのか、どこの姿勢が狂っているのが原因なのかをわかりやすく解説し、その改善方法やトレーニングについてイラストと写真でビジュアル的に紹介します。人によって不調が生じる部分は様々です。首、肩。胸郭部、背中、腰、股関節、足、などの各部位ごとに必要な柔軟性をチェックし、不調の整え方、効果的なトレーニング、改善方法を、トレーナーを指導する体育協会理事長の著者が徹底解説する初めての一冊になります。

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