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症状と漢方処方 頭痛【生薬と漢方薬の事典】

Text:田中耕一郎

症状と漢方処方 頭痛

かぜの症状のひとつとして頭痛が起きますが、それとは別に慢性的な頭痛に悩まされている人も多く、どの程度の頭痛があったら病院を受診するか判断に困るケースもあります。頭痛はストレスやイライラなど、感情が原因で起こることもあります。特に怒りの感情が強いと、気が体の上にあがって頭痛を招くので、感情のコントロールも頭痛改善に必要です。

病邪からみる風寒 による頭痛

冷えが原因となって肩こりや首こりもともなう

処方:葛根湯

葛根湯で温めて改善する

風寒によって体が冷えると、気血の巡りが滞って肩こりや首こりが起こり、それが頭痛の原因となります。かぜの症状として起こる場合もあれば、慢性的な冷えから起こる場合もあります。また、夏でも冷房によって体を冷やすと、それも頭痛の原因となります。

冷えによる頭痛には葛根湯を用います。葛根湯は首から背中のゾクゾクした冷えをとる力がある薬で、体を適度にあたため血行を促します。葛根湯に配合されている麻黄が交感神経を刺激することで、体を少し興奮させて元気にする作用もあります。

column:頭痛のセルフケアに川芎茶調散

ガンガン痛むというよりは、ちょっと重だるい、すっきりしない…そんな病院に行くほどではない軽い頭痛には、川芎茶調散が適しています。どんな頭痛にも効果がある、お茶と一緒に飲む薬で、温かいお茶で体を温めながら気血の巡りをよくしていきます。

体質からみる気滞による頭痛

ストレスや怒りの感情が原因で起こる頭痛

処方:抑肝散

ストレスは気滞を招き、それが筋肉を緊張させて頭痛という症状であらわれます。よく眠れない、気持ちが休まらない、緊張している時間が長いときに起こりやすい頭痛です。また怒りの感情にも要注意。イラっとくると、気が体の上にあがり、頭痛を招きます。

気滞による頭痛には、抑肝散を用います。抑肝散には、イライラや気持ちの落ち込みなどの精神状態を緩和させる作用があります。

養生・セルフケア

過ごし方

怒りの感情が生まれたら、ため込まないようにしましょう。食べたものを消化吸収するように、感情も人生の糧として吸収したら、過去のものとして排出することが大切です。

漢方では、怒りの感情をいつまでももっていると、その感情が病気を引き起こすと考えます。運動や趣味などを通じて発散し、不要な感情は全部出してしまう習慣をつけましょう。

【出典】『生薬と漢方薬の事典』著:田中耕一郎

【書誌情報】
『生薬と漢方薬の辞典』
著:田中耕一郎/ 監修:奈良和彦・千葉浩輝

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