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「G7」主要7カ国の大半がヨーロッパの国であるように、ヨーロッパの経済発展に影響した地理的な要因とは?【図解 地理と経済の話】

Text:著者:井田仁康

ヨーロッパの気候と地形は経済発展にうってつけ【図解 地理と経済の話】

人が活動しやすい温帯地域の利点

古代文明の時代からさまざまな文化や民族が交流し、発展していった地中海沿岸地域。ヨーロッパもその恩恵に浴し、中世を経て近世では大航海時代の覇者に、さらに近代では産業革命の主役になりました。そして今もなお、世界的に重要な文化・経済圏に数えられています。G7(主要7カ国)に名を連ねる国のうち、4カ国がヨーロッパの国々であることがその証明といっていいでしょう。

ヨーロッパの気候と地形は経済発展にうってつけ【図解 地理と経済の話】

では、このように世界的に影響力を有する国が一地域に集まったのはなぜか。ヨーロッパの広い範囲が温帯に属するという、地理的な要因が大きいとされています。

熱帯や寒帯ではそもそも人の活動が制限されるもの。一方、日照が安定している温帯は、人が活動するのに最適な気候なのです。さらに温暖で適度に降水のある温帯地域では、落ち葉や枯れ葉が分解されて蓄積した腐植土と呼ばれる肥沃な土壌ができあがります。これが農業に適しているのです。

ヨーロッパには平野が多く、標高も高くないため、人の移動や物流が盛んという点も見逃せません。このような土地では河川を利用した水運が有効だからです。ヨーロッパの繁栄の背景には、生産力に直結するような気候や地形の要素が働いていたのです。

ヨーロッパの気候と地形は経済発展にうってつけ/人が活動しやすい温帯地域の利点【図解 地理と経済の話】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある

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昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
・インドでIT産業が特に発展したのはなぜ?・天然資源に恵まれたアフリカがなかなか成長できなかったのはなぜ?・中国やインドに続いて今後さらに伸びていく国はどこ?・中東で大量の石油が採れるのはなぜ? これらはすべて「地理」で説明ができます。今の世界情勢からこの先世界がどう動いていくかまで、世の中の流れがわかるようになる「経済地理学」が面白く学べる一冊です!

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