天体が大量に衝突しできた説が有力
月面の写真を見ると、円形のくぼ地があるのがわかります。あれがクレーターです。実は、月のクレーターをはじめて発見したのはガリレオ・ガリレイでした。彼は物理学者として有名ですが、天文学者としても多くの業績を残しています。1609年、自作の望遠鏡で月を観察した結果、月は水晶のようなつるつるとした球体ではなく、無数の山やくぼみがあることを見つけたのです。
では、そんな月のクレーターはどうしてできたのでしょうか?これについては、古くから2つの説が論じられてきました。1つが、火山の火口説。1つが、月に小天体が衝突して形成された説です。この論争に決着をつけたのが、アメリカのアポロ計画による月の直接探査でした。
月から持ち帰った岩石の分析によって、激しい衝突の痕跡が明らかになったからです。これが衝突起源説の動かぬ証拠となりました。月面に超音速で小天体が衝突すると、その衝撃や熱によって月面はドロドロに溶け、ふちが盛り上がり、内側は溶けた地面が平たく固まったと考えられます。
衝突した天体の質量や衝突速度によってクレーターの大きさはさまざま。直径200キロメートルを超える大きなものから、直径数キロメートル以下のものまで、その数は数万個にのぼります。調査の結果、クレーターが多く見られる月の高地は40億年ほど前の古い地質であることがわかりました。40億年前から38億年前にかけて、無数の小天体が激しく衝突した時期があり、そのときに形成されたものと推測されています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』 著:渡部潤一
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
監修:渡部潤一
「地球はどうやってできたの? 宇宙のどこにあるの? 」「太陽が巨大化するってホント?」「月のクレーターや『月の海』って?」「 宇宙はどんな構造?いくつもあるの? 」など素朴なギモンに即答で宇宙のナゾに迫る! ——地球の生い立ちから、お隣の天体・月の謎、太陽と惑星の素顔、恒星と銀河、宇宙論まで、最新の天文学、宇宙物理学、惑星科学に踏まえてやさしく解説。豊富なイラスト、61テーマと興味深い宇宙・星座コラムで、夢とロマンに満ちた、いちばん新しい宇宙の姿がよくわかります。太陽系のナゾから最新の宇宙理論まで、宇宙のフシギをズバリ解明します!
公開日:2024.02.13