グリンパティックシステムが認知症を予防する!?
人の体を構成する37兆個もの細胞はそれぞれ代謝を行ない、それにともなって老廃物が生じます。老廃物はリンパ組織などを通して、細胞外へ排出されます。
脳の重さは成人で約1200〜1400gと、体重のたった2%程度にもかかわらず、ほぼ休みなく活動するため、体全体の約18%ものエネルギーを消費しているといわれます。
代謝が活発に行なわれると、そのぶん老廃物も多く生じます。ところが、脳にはリンパ組織がありません。
ところが、脳にはリンパ組織がありません。そのかわりに、脳の老廃物は脳内をめぐる脳脊せき髄ずい液という液体で、洗い流されています。この働きを、グリンパティックシステムといいます。
廃物の除去はおもに睡眠中に行なわれているため、睡眠不足がつづくと老廃物の処理が十分にできなくなり、蓄積されてしまいます。
なかでも、使い終わったたんぱく質(アミロイドβ前駆体)の代謝によって生じる老廃物、アミロイドβがたまると、脳に老人斑は んというシミをつくり、アルツハイマー型認知症の原因となると考えられています。
アミロイドβの蓄積は高齢になってからではなく、認知症発症の20年も前からはじまるといわれます。若いころからたまった睡眠不足が、認知症にも影響すると考えられるのです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 睡眠の話』 監修:西野精治
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 睡眠の話』
監修:西野精治
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公開日:2021.06.19