腰をかばい過ぎるのも逆効果!?
腰という漢字は、肉体を表す「肉月」の「月」に「要」を組み合わせてできています。これは腰が体の中心であり、動作の要となることを意味したものです。立つ、座る、歩く、走るなど、読んで字のごとく、腰が安定して正しく機能しなければ、日常生活もままなりません。腰の不調をきちんとケアする、予防するといった行動は、長い目でみれば健康寿命(健康上の問題がなく日常生活を送れる期間)を延ばす要因の1つになるともいえるでしょう。
とはいえ、腰を大事にし過ぎるあまり、全く動かさない、重たいものを持たないなどの極端な行動は問題ありです。これは、腰に痛みのある人、過去に腰痛で悩んだ人によく見られるパターンですが、用心のために日常の行動を制限して出歩かなくなり、腰痛のリスクを回避しようとします。
特にシニアの場合は、痛みへの不安と恐怖から活動が消極的になりがち。ただでさえ加齢による筋肉の衰えが否めないのに、体を動かさないことで筋力の低下や関節の不具合を招けば、健康寿命を縮めてしまうという皮肉な結果に繋がりかねません。
腰痛に対して臆病になり過ぎず、前向きな気持ちで家事をこなしたり、趣味を満喫したりしながら、徐々に腰のコンディションを整える、予防に努めるのが理想的です。今や人生100年時代、元気な腰を原動力に、健康で生き生きと、自立した時間を少しでも長く楽しみたいものです。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔
【書誌情報】
『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』
著:吉原潔
今や4人に1人が悩んでいるとも言われる国民病である『腰痛』。ぶつけた、痛めた、ぎっくり腰といった原因がハッキリしている腰痛だけでなく、『脊柱管狭窄症』『椎間板ヘルニア』『ぎっくり腰』などによる痛みや、病院で検査しても特に異常が無いと言われるものまで、痛みの原因は多種多様にあります。しかし、そんな痛みに対して痛み止めや筋弛緩剤などの薬で対処療法だけをしていても根本の治癒にはなかなか繋がらないため、しっかりと『腰痛の原因』と向き合うことが大切です。本書ではそんな腰痛を治して、長い人生を痛み無く健康に過ごすために、『脊柱脊髄外科専門医』と『フィットネストレーナー』という2つの肩書を持つ腰痛の名医による、腰痛が治らない意外な原因と、骨と筋肉にアプローチする自宅でできる腰痛のセルフケア法を紹介します。
公開日:2023.07.02