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運動能力と遺伝は関係ある?【眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話】

Text:安藤寿康

運動能力と遺伝は関係ある?

やる気と環境がさらなる成長を促す

昔から親子やきょうだいで活躍するアスリート、プロスポーツ選手が少なからず存在します。高校野球や相撲、競馬の騎手、最近では柔道や卓球でもきょうだいが注目を集めました。そうした人々のパフォーマンスに感動を覚える一方で、「やはりスポーツの世界にも遺伝はあるのか」と溜息がこぼれる人も多いかもしれません。実際のところはどうなのでしょうか?

下のグラフは、さまざまな運動における遺伝と共有環境、非共有環境の影響を調査したもの。種目によって結果はだいぶ異なりますが、これを見る限り一概に「運動能力は遺伝の影響が大きい」とはいえなそうです。学校の体力測定などで行われるシャトルランでは共有環境の影響が大きい一方、握力測定では遺伝の影響が無視できない数値となっています。また、全般を通じて年齢が上がるにつれて共有環境の影響が大きくなる傾向も見られます。おそらくこれは低学年のうちは全員が同じ環境で取り組むことができるため環境面での影響は少なく、高学年になるほど普段の運動環境や本人の積極性などに差が出てくるからと推測することができそうです。運動能力と遺伝はまったくの無関係とはいい切れませんが、こと学生スポーツにおいては遺伝など気にせず、本人のやる気と楽しむ心を大事にしたいものです。

種目や年齢によって能力への影響は変化する

遺伝と環境が及ぼす運動能力への影響を調べたところ、運動の種類や内容によって影響度合いに差があることがわかりました。一方で、学年が上がるに従い共有環境の影響が徐々に大きくなっていく傾向も見られます。

成長とともに環境の影響が大きくなる理由は?

成長とともに共有環境の影響が大きくなるのは、積極的に運動に取り組む環境の有無や、子ども自身のやる気も少なからず影響しているものと思われます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修:安藤寿康

≪累計300万部突破!『眠れなくなるほど面白い図解シリーズ』≫
環境や努力は遺伝に勝てない!?行動遺伝学者が語る“遺伝のタブー”を図解でわかりやすく解説!【遺伝の話】

「生まれ持った才能」「容姿の格差」「親ガチャ」…誰しもなんとなく気が付いて受け入れているものの、表立ってその違いを口にすることはタブーとされがちな遺伝の話。
近年、インターネット上でもさまざま議論がなされ、「遺伝」に関する話題は注目を浴びています。

一般的に遺伝といえば、身長や体重、髪の毛や瞳の色といった身体的特徴が親から子に受け継がれることを指し、遺伝学とはこういった特徴が次世代にどのように引き継がれるかを研究する学問です。その中でも特に、遺伝と環境が人の成長にどう影響しているかを解明していく分野を「行動遺伝学」といいます。
本書では、行動遺伝学の第一人者である著者が遺伝にまつわるさまざまな気になるギモンをわかりやすく解説します。

「親から遺伝するもの、しないものって何?」「そもそも遺伝ってどういうしくみ?」という基本的な知識から、「収入と遺伝は関係がある?」「容姿の差による格差ってどれくらい?」「遺伝で決まっているから環境や努力ではどうにもならない?」「生まれで9割決まっているって本当?」など、漠然と言われているけど誰も正直に答えてくれないような話題まで、徹底解説!

誰しも避けて通れない遺伝の真実を、わかりやすく、そして正しく知ることができる一冊です。

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