遺伝的に病気になりやすい人、なりにくい人
「がんの家系」は実際にある!?
家族や近い親戚の誰かが大きな病気にかかるとよく話題に上るのが「うちは◯◯の家系だから」という話。この「◯◯」にはがんや脳卒中、糖尿病といった日本人にはなじみのある病名が入ることが多いのですが、実際に「家系」という大きなグループで特定の病気になりやすいというのは、遺伝的にはよくある話なのです。
下の階段の図は、遺伝的な要因の有無による病気発症のリスクをイメージ化したもの。左側と真ん中のふたりの違いは遺伝的要因の有無だけですが、それがふたりの病気発症までの道のりを大きく分けていることがわかります。一方、右側の人は遺伝的要因がありながら、発症リスクを高めてしまう環境的要因も抱えているため、病気の発症は秒読みの段階です。つまり、病気の遺伝的要因は発症のリスクに影響はしますが、それ自体が直接の原因にはならないということ。たとえば心筋梗塞の遺伝的要因を持つ家系であっても、日々の食事や生活習慣によっては生涯発症しない人もいるのです。
また、病気や障がいによって遺伝しやすさも違います。日本人に多い胃がんや大腸がんは遺伝よりも環境的要因が高め。反対に心筋梗塞は6割前後、緑内障は9割が遺伝的要因と決して見逃せない数字です。これこそ「家系」の病気といって差し支えないでしょう。
遺伝的要因で病気のスタート地点はまったく違う
病気や障がいによって遺伝の影響は異なる
以下はさまざまな病気の遺伝的要因と環境的要因の割合をわかりやすくグラフ化したものです。多くの人にとって他人事ではない糖尿病やがん、心筋梗塞なども少なからず遺伝によるリスクがあることがわかります。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』著:安藤 寿康
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 遺伝の話』
監修:安藤寿康
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環境や努力は遺伝に勝てない!?行動遺伝学者が語る“遺伝のタブー”を図解でわかりやすく解説!【遺伝の話】
「生まれ持った才能」「容姿の格差」「親ガチャ」…誰しもなんとなく気が付いて受け入れているものの、表立ってその違いを口にすることはタブーとされがちな遺伝の話。
近年、インターネット上でもさまざま議論がなされ、「遺伝」に関する話題は注目を浴びています。
一般的に遺伝といえば、身長や体重、髪の毛や瞳の色といった身体的特徴が親から子に受け継がれることを指し、遺伝学とはこういった特徴が次世代にどのように引き継がれるかを研究する学問です。その中でも特に、遺伝と環境が人の成長にどう影響しているかを解明していく分野を「行動遺伝学」といいます。
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公開日:2024.11.11