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キメラの研究はなぜ行われている?【眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話】

Text:高橋祥子

キメラの研究はなぜ行われている?

再生医療に役立つキメラ

キメラとは、複数の異なった遺伝子をもつ細胞が体内に入っている、1個の生物のこと。ギリシア神話に登場する、ライオンの頭とヘビのしっぽをもつキマイラという動物の名前にちなんで名づけられました。神話の世界では架空動物ですが、生命科学の世界では、実際にキメラをつくることができます。たとえば、マウスからiPS細胞をつくってラットの受精卵に注入し、これをラットの子宮に戻すと、マウスとラットの細胞をもつキメラが誕生するのです。

そして現在、キメラの技術を再生医療に応用しようという研究が各国で行われ、いろいろな成果が上がっています。日本でも、マウスからiPS細胞をつくり、膵臓だけがないラットをつくって、このラットにiPS細胞を入れる実験が行われました。膵臓だけがマウスの細胞由来という、ラットとマウスのキメラができ、その膵臓を糖尿病のマウスに移植。拒絶反応もなく正常に機能し、治療の成功が報告されています。

2019年にクローン技術規制法が改正され、日本でも動物にヒトの細胞を入れて子宮に戻し、その動物を産ませてもいいことになりました。キメラの技術を病気のメカニズムの解明、創薬、移植用の臓器不足解消に役立てようという動きは、ますます活発になっていくでしょう。

キメラブタがドナーの代わりになる

これまでの臓器移植は、移植時の拒絶反応が問題になっていたが、キメラによる移植は患者本人の iPS 細胞を使うので、患者由来の臓器ができる。したがって拒絶反応は起きにくいと予想され、今後の研究に期待が高まっている。

なぜ、ブタなのか?

ブタがヒトとのキメラに選ばれる理由は、臓器の大きさがヒトと同じくらいであること。また、成長スピードが早いので、確保しやすいことです。ブタには申しわけない話ですが、日ごろヒトの食用にしているので、屠殺への抵抗感が少ないということもあります。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』著:高橋祥子

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』
著:高橋祥子

『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』は、生命科学の基本概念を分かりやすく解説した書籍です。生命科学は、生物の構造や機能、進化などを研究する学問ですが、専門的な知識が必要で、難しく感じることも多い分野です。しかし、この本では、豊富な図解やイラストを使い、専門用語や複雑な内容をわかりやすく噛み砕いて説明しています。

特に、DNA、遺伝子、進化、免疫など、私たちの体や生命現象に関わる重要なトピックを、科学的な視点から解説しつつ、日常生活に関連づけて説明しています。初心者でも理解できるように配慮されており、難解なテーマでも「なるほど」と納得できる構成になっています。この本は、生命科学に興味があるけれども専門的な知識がない方、または生物学を学んでいる学生など、幅広い読者におすすめです。

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