水栓タンクの構造とは
水洗トイレはどんな仕組みで汚水を洗浄するのだろう、と考えたことがありますか?簡単な仕組みなので種明かしをしてみましょう。まず、水洗トイレがどんな構造になっているのか、水洗トイレのタンクの横についているレバーを回すことを想像してください。そうするとどうなるか。レバーにつながっている鎖くさりが伸びて排水溝をふさいでいる蓋(ゴムフロート)が持ち上がります。そうするとゴムフロートは浮力で水中に止まり、その間にタンク内の水が排水管に流れ、トイレを洗浄するわけです。
水が排水管に流れることでタンク内の水位が下がりますが、水位が下がると同時にゴムフロートも下がりますね。そうしてゴムフロートの一部が水面から出るようになると、ゴムフロートは自重で排水管口にかぶさり、水路を閉じます。
水面の降下とともに浮き球も下がります。浮き球に付いたアームは図2の「てこの原理」でボールタップの栓を開け、水道管につながった手洗い管から水を出し、タンク内の水位を上げます。水位の上昇とともに浮き球も上がりボールタップの栓を閉じて水の供給を止める、というわけです。浮き球とゴムフロートによる栓の開閉、および排水管の開閉には、このようにてこの原理が使われています。てこの原理は図2のように、「支点から計った力が作用している点までの長さと、そこにかかっている力の積が双方で等しい」というものです。
浮き球やゴムフロートは浮力を使って水位と連動するようにつくられています。それらの重さと浮力が釣り合うようにつくられているので、これによって中立の動きができます。浮力は物体が押しのけた体積の水の重さです。水の重さと物体の重さが釣り合うということです。したがって、押しのける水の体積がバランスをとるために重要です。浮き球のように一部が水中に沈んでいるときは、その沈んでいる体積の水の重さが浮力となる、というわけですね。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』著/望月修
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』
著:望月修
物理学は、物質の本質と物の理(ことわり)を追究する学問です。文明発展の根底には物理学の考えが息づいています。私たちの生活の周辺を見渡しただけでも、明かりが部屋を照らし、移動するために電車のモーターが稼働し、スマートフォンの基板には半導体が使われ、私たちが過ごす家やビルも台風や地震にも倒れないように設計されています。これらすべてのことが物理学によって見出された法則に従って成り立ち、物理学は工学をはじめ、生命科学、生物学、情報科学といった、さまざまな分野と連携しています。……料理、キッチン、トイレ、通勤電車、自動車、飛行機、ロケット、スポーツ、建築物、地震、火山噴火、温暖化、自然、宇宙まで、生活に活かされているもの、また人類と科学技術の進歩に直結するような「物理」を取り上げて、わかりやすく図解で紹介。興味深い、役立つ物理の話が満載の一冊。あらゆる物事の原理やしくみが基本から応用(実用)まで理解できます!
公開日:2023.06.03