加齢だけじゃない?!食べる量が減っていく様々な要因とは?【70歳からおいしく栄養がとれる食事のくふう】
1人前食べるのが難しいのは体と食環境が変化しているからかも?
年齢を重ねるにしたがって食べる量が減ってきたなというのは、多くのかたが実感するところでしょう。若いときは定食を大盛りにしておなかいっぱい食べたかったのに、今では「半分でいいや」と思ったりします。そして実際に食べ始めても、昔のようにはたくさんの量が食べられなくなっており、残してしまうかたもいるでしょう。加齢によって消化のための機能が落ちたり、歯の具合が悪くなったりと、様々な要因から量が食べられなくなってきます。
また、若いときほど1日の活動量が多くありません。現役のころに比べて移動の距離も体を動かす機会も減っているはずです。活動量に比例して、若いときと同じくらいの食事量を欲しなくなっているのも事実です。場合によっては持病を抱え、食べたいものでも思うように食べられないというかたもいるでしょう。
また、私たちが日々、年齢を重ねたかたたちに接してい感じるのは、「食べたい」という意欲がだんだん減ってきており、それには、食をとりまく環境の変化も大きいのではないかと考えています。
交友関係がだんだん狭まり、親しかった友人たちとはごくたまにしか会わない、昔は一緒に暮らしていた家族たちもそれぞれ家を出て、夫婦2人暮らし、またはお1人で暮らしているかたは1人で食事をすることが増えているでしょう。そんな日々の中で、1日3食の食事を作って食べることが、半ば義務のように思えて、楽しみではなく、苦痛な時間になっているかたも少なくないと感じています。私たちは日々の活動を通じて、「いやいや、食事は楽しいものだ」とお伝えしたいと思っています。
さらに、目標があれば、「食べること」に意味を見いだし、食への意欲を取り戻すことができます。例えば、「孫の結婚式までは元気でいよう」といった具体的な目標です。
「食べること」は単なる生理的欲求とは限らず、目標ややりがいといった精神面とも密接な関係にあるのです。
【出典】『70歳からおいしく栄養がとれる食事のくふう』
監修:特定非営利活動法人 京都栄養士ネット 日本文芸社刊
監修者プロフィール
訪問栄養食事指導で地域の皆様の健康と栄養をサポートする管理栄養士のグループ。メンバーは京都府栄養士会の会員。2018年9月に認定栄養ケアステーションの認定を受け、京都府全域で訪問栄養指導を中心とした活動を行っている。2021年10月より機能強化型栄養ケアステーションに移行認定。在宅で療養されている方を訪問して、その方にあった食事の作り方やどの程度栄養量が摂れているか何を補えばよいかなどを、その方の嗜好や生活環境を大事にしながら、一人ひとりその人にあった形で提案し、実践してもらえる支援を目指し、多職種と連携し活動している。
70歳を過ぎ、「食が細くなった」「料理も面倒」「元気が出ない」と感じている方は、もしかしたら「低栄養」が原因かも?日々の食事は、健康な体をつくります。シニアになると体の変化に合わせて、必要な栄養もとりかたも変わってきます。この本では、訪問栄養指導の栄養士チームが「手軽」に「おいしく食べて」、「健康寿命をのばす」とっておきの食事のくふうを紹介します。品数が豊富じゃなくても、量が食べられなくても、料理が苦手でも、身近なものから栄養がとるコツがあります。・いつもの食事にちょい足しするだけ!手軽にたんぱく質が補える○○!・30品目用意しなくても、お皿は3つでいい・「食べ順」で栄養の取り逃しを防ぐ・やめられない菓子パンを○○に置き換えてみたら栄養がアップ!・全部手作りじゃなくていい!スーパーやコンビニで手に入るお助け食材ベテラン栄養士が現場で得た知見から生まれた、すぐに使える超実用的な栄養本です。1人暮らしでも、ご夫婦でも、親御さんの食事や栄養状態が気になるかたにも役立つ知識が満載です。3年先、5年先、10年先の健康な身体をつくる「栄養」がとれる食事をはじめましょう!
公開日:2024.05.01