体を構成する気・血・水
漢方では、人は体内にある「気・血・水」という3つの要素によって、生命活動を営んでいると考えます。体質にも深くかかわる気・血・水、それぞれの働きを知っておきましょう。
気・血・水とは
気・血・水は、それぞれ体内でつくられ、体内を巡り、代謝され、五臓六腑をはじめとする、さまざまな器官が機能するために欠かせない存在です。
陰陽では、気が陽、血・水が陰です。3つのうちのどれかが不足したり、巡りが滞ったりしてバランスがくずれると、健康が維持できず、心身に不調が生じると考えられます。
気
気は、目には見えない生命エネルギーのようなもので、生きる力の源です。生まれたときから腎に蓄えられていた気を「先天の気」といいます。一方で飲食物から得られる「水穀の気」と、肺がとり入れた自然界にある清気とが結びついて「後天の気」が生成されると考えられています。体を温め体温を保つ、血・水を生成して体を巡らせる、水を尿や汗などに変換する、血や水が体の外に漏れるのを防ぐ、体表や皮膚を維持する、外界から体表を守るといった働きをしています。
血
血は、体内を巡り全身に栄養を届ける働きをしています。思考などの精神活動にも大きくかかわっていて、精神状態を安定させるには、血が十分でなければなりません。皮膚や爪、髪、目も、血の影響がよくあらわれるところです。また、漢方では母乳は「白い血」とされ、血と同じ働きをもつと考えられます。西洋医学の血液とよく似ていますが、漢方の血のほうが多様な働きをもっており、同じものではありません。
水
中医学では「津液」といわれます。体内のみならず、皮膚や粘膜など、体のすみずみにうるおいを与えています。また、関節をなめらかに動かすのも水の働きです。
【出典】『生薬と漢方薬の事典』著:田中耕一郎
【書誌情報】
『生薬と漢方薬の辞典』
著:田中耕一郎/ 監修:奈良和彦・千葉浩輝
漢方の処方によく使われる生薬と漢方薬の事典。
漢方の元となる生薬図鑑では、119の主な生薬について、元となる植物を、写真と細密なイラストで紹介。
薬効や処方だけでなく、生薬に対する知識や理解をより深めることができます。
不調やトラブルに対する漢方処方は、体質や病邪からみています。
どんな体質の人がその症状に陥りやすいのかどこに原因があるのか、どの漢方薬を処方するのか。およそ30の症状について個別に解説しています。
専門家による「証」を基準とせず、体質で判断できるので、一般の方にもわかりやすい内容です。
漢方薬については、298処方の適応症状、体質、分量、出典などを紹介。
漢方を学ぶ人だけでなく、漢方薬局や漢方処方に興味のあるすべての方におすすめの一冊です。
公開日:2024.12.03