“がんばらなくても大丈夫” 歎異抄が多くの人たちから支持され続ける理由【眠れなくなるほど面白い 図解 歎異抄】

歎異抄が多くの人たちから支持され続ける理由

歎異抄は親鸞の言葉を直接受け取った、弟子の唯円がまとめあげたものです(後半部分は唯円の嘆き)。仏教書であるにも関わらず、難しい専門用語は使われていないため、誰でも簡単に親鸞の教えに
ふれることができます。

歎異抄の魅力のひとつとして、親鸞の教えの基本である、「念仏さえ唱え続ければ、善人も悪人も平等に極楽浄土へ導いてくれる」という考え方があります。これは「どんな人でも救われる」ということを説いています。

いつの時代も人は落ち込んだり悩んだりします。歎異抄は誕生から700年以上の時が流れていますが、いつの時代にも共通する人間の心の弱さについて言及し、どうすれば嫌な気持ちが晴れ、ポジティブに生き抜くことができるか、そのヒントが散りばめられています。それは私たちに心の安らぎを与えてくれます。

歎異抄の短い文章の中には、親鸞の強い思い入れが込められており、読む人によってさまざまな解釈ができるのも特徴のひとつでしょう。人は「自分にはどうして悪いことばかり起こるのだろう」「なにをやってもうまくいかない」というネガティブな感情を抱くことがあると思います。歎異抄はそんな悩みを抱く人たちに対しても、手を差し伸べてくれる言葉が散りばめられています。さらに難しいことを考えず、阿弥陀仏の力を信じていれば願望が成就し、よい運気が流れてくるとも説いています。

親鸞の教えを知ることにより、落ち込んだり悩んだりすることが馬鹿らしく思えるようになり、それは嫌な感情、すなわちネガティブな感情が消えることになります。「無理にがんばらなくても大丈夫」というポジティブな気持ちにしてくれる力も持っています

このように「歎異抄」に書かれている親鸞の教えは、人々の悩みや悲しみの感情に寄り添い、現代社会に生きる私たちの心に響くものがあります。それが長い年月を経た今でも、多くの人たちから支持されている理由ではないでしょうか。歎異抄の基本理念 「他力本願」を信じることは不安や悲しみ、妬みや怒りなどの嫌な感情を取り除き、穏やかな心であり続けることができます。歎異抄はこれからも永遠に語り継がれていくことでしょう

◆ 法界寺(ほうかいじ)

親鸞聖人の生誕地、京都市伏見区日野にある真言宗醍醐派の仏教寺院で、正式には法界寺日野薬師堂と言います。親鸞聖人の幼少期に宗教的な影響を与えた寺のひとつです。藤原北家の日野資業によって創建されたと伝えられています。親鸞聖人の生誕を記念する日野誕生院が法界寺の近くにあります。

▲ 法界寺

◆ 釈迦(しゃか)

本名はゴータマ・シッダールタ。紀元前 5 世紀頃のインドに生まれた仏教の開祖です。王子として裕福に育ちましたが、生老病死の苦しみに直面し出家します。厳しい修行の末に悟りを開きます。

苦しみから解放される道を示したその彼の教えは、仏教として世界に広まることになります。彼は「仏陀(ぶっだ)」とも呼ばれます。

▲ 釈迦如来

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 歎異抄』監修:山口謠司

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 歎異抄』
監修:山口謠司


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「善人なおもって往生を遂ぐ。いわんや悪人をや」――親鸞の死後に弟子の唯円が師の言葉をまとめた「歎異抄」。
仏教書の中でも、現代に必要とされる「安心」と「他力本願」の奥義がわりやすく、生きる力や癒やしにつながると根強い人気があります。700年以上前に親鸞が説いた、この今を生き抜くための名言には、「生きることはどういうことなのか」「信じた道をつき進めるか」「悪人こそが救われる」などという内容の言葉が書き起こされていますが、それは逆説的な意味合いを込めた、「明日を生きる力がわいてくる珠玉の名言」なのです。
日常生活に大いに役立つ歎異抄の世界。語り継がれる親鸞聖人の言葉は、現代社会に大きな影響を与えているといってもいいでしょう。
本書は歎異抄の世界をひもとき、親鸞聖人の考え方をどのように応用すれば、厳しい現代社会を生き抜くことができるかを、図やイラストをふんだんに使い、わかりやすく解説した一冊です。

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