ウナギの刺身をあまり見かけないのは、血の中に毒があるから!?【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】


素人がウナギをさばくリスク
夏のスタミナ源として親しまれているウナギ。蒲焼き、白焼き、ひつまぶしなど、いろいろな料理法で食されます。ですが、ウナギの刺身というのはあまり見かけません。実は、ウナギには毒があるからです。
ウナギやマアナゴ、ウツボなど「ウナギ目」の魚の血液には有毒な成分が含まれています。大量に摂取した場合、下痢や嘔吐、呼吸困難などの症状を起こし、最悪の場合は死に至ることもあるといわれています。
ただし、この毒成分はたんぱく質なので、適切に加熱すれば毒性は失われます。刺身などの生食ではなく、加熱調理で食べられることが多いのはこのためなのです。
一方で、口から摂取する以外にも、血液が粘膜や傷口に触れると炎症を引き起こすため注意が必要です。目に入ると激しい灼熱感や結膜炎が引き起こされたり、傷口に入ると化膿したりするとされています。ウナギ料理の職人さんたちは、このようなリスクに注意しながら、美味しい蒲焼きをつくってくれているのです。
中には、ウナギの刺身を提供するお店もあります。血抜きの処理技術が進歩したことで毒を除去することができるようになったとか。ウナギの刺身には、フグのような歯ごたえと甘みがあるそうです。
ウナギ目の魚には毒がある

ウナギ、マアナゴ、ウツボなどの「ウナギ目」の魚は、血清(血液中の主要な液体部分)に毒を持つ。たんぱく質性の毒なので、60℃で5分以上加熱すれば毒性は失われる。
ウナギ毒の致死量
①マウス
ウナギの血清は、静脈への投与で非常に強い毒性を示し、わずか1mlでも体重20gのマウス60~150匹ほどを死に至らせる。

②人間
マウスに血清を与えた結果から、体重60kgの人間の致死量はおよそ1000ml と推定される(人間とマウスの感受性が同じと仮定した場合)。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん
食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。
魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。
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「カニみそは脳みそではなく、肝臓や膵臓にあたる部位」
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