茶碗一杯=稲2〜3株分!? 一粒もムダにできない米作りの大変さとは【眠れなくなるほど面白い 図解 米の話】


茶碗一杯に2〜3株の苗が必要って本当?
数えて感じるご飯一杯分の実り
ご飯一杯が、どれだけの稲から生まれているかを考えたことはありますか? 実は見た目以上に、ご飯一杯には驚くほど多くの自然の力と人の手間が詰まっているのです。
ご飯一杯(約150g)を炊くには、生米で約60~65g、粒にしておよそ3250粒が必要です。一方、田んぼに植えられた苗1株は、成長の過程で「分げつ」と呼ばれる枝分かれをし、平均して20本以上の茎を伸ばします。それぞれの茎が1本ずつ穂をつけ、1穂あたり約70粒のもみが実るとすれば、1株から収穫できる米粒はおよそ1500粒前後。つまり、ご飯一杯分をまかなうには、苗2〜3株が必要になる計算になります。
では、この一杯のご飯が私たちの食卓に届くまでには、どれほどの工数と手間がかかっているのでしょうか。苗を育てる段階から、田植え、施肥、除草、水の管理、病害虫の防除、天候への備え、そして収穫、乾燥、脱穀、精米にいたるまで、1年を通して実に多くの工程があります。作業の合間には、田んぼの水位を朝夕見回ったり、天候の変化を見越して作業日程を調整したりと、毎日が細かな判断の積み重ねです。たとえわずか一粒でもムダにしたくないという思いで、農家の人々は一株一株を丁寧に育てているのです。
数量で知る茶碗一杯のリアル


ご飯になるまで 〜米づくり5ステップ〜
①苗づくり
苗を育てる専用の箱に土を入れて種もみをまき、催芽、出芽を行い、健康な苗を育てます。
②田植え
苗を水田に植えます。一般的には4月中旬から6月下旬までが目安。
③成長・分げつ
稲が育つと、茎から新しい茎(分げつ茎)が側芽として発生。1株の穂数が増えます。
④収穫
稲刈りの目安は穂の約90%が黄金色に変わったとき。刈り取る10日前から水田の水を抜き、もみの水分を減らします。
⑤精米・炊飯
刈り取った稲を乾燥させ、もみや一番外側の皮をむいて玄米に。玄米のぬか層を取り除き白米へと精米。炊飯しておいしく食べられます。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 米の話』著:トキオ・ナレッジ
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 米の話』
著:トキオ・ナレッジ
スーパーなどでの米不足、転売、価格高騰などで、ニュースやワイドショーでここ最近毎日のように取り上げられる今いちばんのホットトピック「米」。
備蓄米の放出により、古米がスーパーやコンビニで置かれるようになりましたが、味や品質、衛生面、値段、美味しく食べる方法など、普段何気なく食べていた米について興味をもって調べる人が増えてきました。
また、近年糖質制限という逆風もある一方で、健康志向や和食ブームの高まりにより「米」の再評価も進んでいます。
本書は、私たちの食卓に欠かせない「お米」にまつわる知識・文化・歴史・雑学などを、図解を交えてわかりやすく、楽しく紹介する教養本です。
「“令和の米騒動”はひとつの原因では語れない」
「年々減少する米の消費量 それでも起こる米不足」
「備蓄米ってなに? 米に消費期限はないの?」
「外国米が日本市場になかなか入れない理由」
「炊飯器に放置された保温状態の米の消費期限は?」
「白米より栄養価アップ!今人気の分づき米とは」などなど
読めば誰かに話したくなる米知識が詰まった一冊です。
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