親子で楽しめる実験がおうちでできる!? 子どもの発想をよぶ『魔法のおうち実験教室』まえママさんインタビュー【1】


子どもも大人もワクワクするような実験動画で人気を集めているのは、元小学校教員のインスタグラマー、まえママさん。今年5月、はじめての著書『楽しくあそんで 理系力が育つ! 魔法のおうち実験教室』(日本文芸社)を出版されました。
手に入れやすい材料で手軽にできる実験あそびでありながら、バリエーションが豊富で、やりたい実験が必ず見つかる『楽しくあそんで 理系力が育つ! 魔法のおうち実験教室』。
まえママさんご本人に、この本が生まれた裏側やおすすめの楽しみ方について、お聞きしました(インタビューは全3回お届けします)。
取材・文:酒井絢子 撮影:天野憲仁(日本文芸社)
不思議な実験に目が釘付け!インスタグラムの動画が本に
――まず、『魔法のおうち実験教室』を出版することになった経緯を教えてください。
まえママ:インスタグラムで実験動画を発信し始めて2カ月を過ぎた頃、出版社の方からお話をいただいたんです。「不思議が詰まった動画に惹かれて……」とのことだったんですが、フォロワーさんもまだまだ少ないアカウントに、まさかお声がけがあるなんて!とびっくり。
でも、ゆくゆくは本を出せたらいいなと頭の片隅に置いて発信を始めていたので、うれしい驚きでした。
それから1年ほどかけて本作りをしながら、インスタグラムの発信も続けてきました。
――カラフルで楽しくて、何より不思議な実験の様子には、大人も惹きつけられますね。
まえママ:いかに皆さんの心を掴めるか、印象に残るものにできるか、そして実際に実験に取り組んでもらえそうかどうか、あれこれ考えて動画作りをしています。
どんな実験にするかは、まず「なんで!?」って思ってもらえるような画像やシーンが撮れるかどうかがポイントですね。
やっぱり「なんでこうなるんだろう」と不思議に思ってもらえたら、それが実際に「やってみたい!」につながっていくと思うんです。

――『魔法のおうち実験教室』のなかの実験写真も、不思議で気になるものばかりです。
まえママ:動画で大事にしていることを本でも大事にしたいと考えていたんですが、それを制作チームの方々が最大限に形にしてくださいました。
写真は、動画の冒頭と同じように、パッと見ただけで「やりたい!」ってお子さんに思ってもらえるように、とにかく“映え”を意識しました。
でも、実験あそびの様子や結果を静止画にするとなると、すごく難しいものもありました。例えば「ダイラタンシー(手で握っているときは硬い固体だけれど、手を離すとどろんと溶け出す現象)」の実験は、固体の状態をわかりやすく写真におさめるのは大変でしたね。

紙の本だからこそ、実際に実験に取り組んでもらえるように
――そんな苦労も重ねながら、できあがった本の反響はいかがですか。
まえママ:フォロワーさんから、「子どもが本を見てやりたいって言うから、親としてもやらせたくなる。本にしたことで、興味を持つ人や実際にやってみる人が増えた感じがしますね」というようなコメントをいただいたんです。
それを読んで、インスタグラムだけでは叶えられなかったことが本で叶えられた!って思いました。
私は子どもたちに届けるつもりで動画を作っていたけれど、実際に見てくださるのは親御さんの方。「楽しそうだな」と思ってもらえても、実践まではなかなか難しいというパターンがすごく多くて。
でも、本にしたことで、直接お子さんに届くようになって、実践につながっていったんです。
――本を片手に実験をやりたいとせがむ様子が、目に浮かびます。
まえママ:本なら、お子さんが自由にめくって好きなページを見つけることができますもんね。
この本では、実験あそびが学びにつながっていく流れもうまく出せたなと思っています。写真があって、やり方があって、その解説までが1セット。
インスタグラムだと、どうしても動画を見て「すごーい」と思ってもらって終わり……というパターンも多いので、本にしたからこそしっかり伝えられるものにできたなと思います。

子どもの発想のきっかけになる『魔法のおうち実験教室』
――やっぱり、まず手に取ってもらいたいのは子どもたちですか?
まえママ:いやいや、親御さんからおすすめしてもらうのもありだと思います!
教育って、子どもの世界を広げていくためには、ある程度導いてあげないといけないという側面もあるんですよ。
結局、経験したことや見知ったことを元にしてでしか、発想って生まれないから。経験がない段階で子どもの発想をずっと待っていても、いつまでも何も出てこなかったりします。
――さすが、元理科の先生。説得力があります!
まえママ:もちろん、なんでもかんでも道しるべを作ってあげるのは逆効果だと思いますから、大事なのは塩梅ですよね。
子どもと一緒に何かやるのは面倒くさいという気持ちも、よくわかります(笑)。
でも、子どもが子どもである時間って本当にあっという間。子どもが喜ぶ機会を作ってあげることができたら、親である自分自身があとで振り返ったとき、後悔がない気がするんです。
この本の実験あそびが、かけがえのない楽しい親子時間の助けになれたら、そしてお子さんの素敵な発想のきっかけになれたなら、何よりうれしいなと思います。
次回は、親子で楽しむ時間の作り方、夏休みの自由研究のヒントについて、お伝えします。
【書誌情報】
『楽しくあそんで 理系力が育つ!魔法のおうち実験教室』
著者:まえママ
科学ってまるで魔法みたい!理系脳が育つおうち実験あそびを元小学校の理科の先生が教えます。身近なペットボトルやストロー、風船や卵を使って、親子であそべる実験を紹介。掲載している実験は、ワクワク、不思議な変化がいっぱいで、子どもウケ抜群のものばかりです。子どもの「なぜ?」「どうして?」に答える解説つきなので、ご自宅であそびながら科学への興味を引き出し、理系の思考力を伸ばすことができます。かんたんなものから、自由研究に使える本格派まで難易度別に、3歳~小学生までのお子さま向けの実験を紹介しています。おうちでお子さまとできるあそびをお探しの親御さん必見です。夏休みの自由研究のまとめかたも解説しています。
★掲載している実験例★
・【簡単な実験】スライム
・【簡単な実験】混ざらない水
・【食べられる実験】ミラクルあわあわ
・【食べられる実験】フリフリ手作りアイス
・【食べられる実験】光るかき氷
・【動きがすごい実験】最強のシャボン玉
・【動きがすごい実験】海底火山の大噴火
・【ミラクルな実験】海底にねむる沈没船
・【ミラクルな実験】ファンタジーフォレスト
・【チャレンジ実験】DNAを取り出そう
・【チャレンジ実験】マジック貯金箱
著者:まえママ
instagram@mae_kosodate/
元小学校教諭。理科の先生。インスタグラムフォロワー13万人超。おうちにあるものでできる科学実験あそびを発信中。科学反応を応用したカラフルでダイナミックな「映える」実験が子どもに大人気。自身の理科教員の経験を活かし、理系の思考力を伸ばす実験レシピは、子どもと一緒にできる遊びを探している親たちからも大好評。
【取材・文】酒井絢子
フリーランスライター。クラフトからキャリア系までジャンルは問わず幅広く執筆活動中。