“空に浮かぶミクロの結晶” 雲はなぜ落ちてこない?【最新の国際基準で見わける 雲の図鑑】


雲ができるしくみ
雲は何からできている?
空の高いところに漂うとても小さな水滴や氷晶(氷の結晶)。これが一か所に密集して、はっきりと目で見えるようになったものが雲です。
水滴は雲の種類などによって異なるものの、大体0.01mm程度のスケールです。水滴の落下速度はとても遅く、計算上は1分間で1mにも満たないくらいです。さらに上空の風の影響などもあるため、雲は落ちてくることなく漂い続けています。
氷晶とは、氷の結晶のことです。 結晶の発達具合によって大小ありますが、0.01mm程度のスケールです。 大半は平たい六角(角板)や、細長い六角柱(角柱)です。まれにカットダイヤのような形になったピラミッド型氷晶と呼ばれるものもあります。
●水滴の大きさと、落下速度の目安

雲が空に浮かぶしくみ
さまざまな理由で上昇気流が発生し、水蒸気を含んだ空気が持ち上げられると雲ができます。
低気圧や気圧の谷が近づくと天気が悪くなる傾向があります。これは、周辺より気圧が低い場所では上昇気流が発生し、この上昇気流が雲をつくるからです。
また、空気には、暖められると軽くなり、冷やされると重くなるという性質があります。よく晴れた日は、日射の影響で暖められた地表付近の空気はぷかぷかと浮かぶように上昇し、雲をつくります。
それから、向きの異なる2つの風がぶつかったとき(風の収束)も、ぶつかりあった風が行き場を失って上昇し、雲をつくることがあります。
上昇気流のメカニズム(おもなもの)
強い日射で地面付近の空気が暖められたとき

風が山にぶつかったとき

低気圧の周辺

寒気と暖気がぶつかる「前線」がある場所

【出典】『最新の国際基準で見わける 雲の図鑑』著:岩槻秀明
【書誌情報】
『最新の国際基準で見わける 雲の図鑑』
著:岩槻秀明
季節ごとに見られる雲やレアな雲、気象予報の役に立つ雲など、科学的な観点から見る雲に加え、雲海や霧など景色として楽しめる雲まで解説する雲図鑑です。