密会が見つかり怒りを買う~巻名:賢木・花散里~【図解 源氏物語】

御息所と別れを惜しむ(賢木)
秋、六条御息所は源氏との関係に終止符を打ち、斎宮(さいぐう)となった娘とともに伊勢に下ることを決意しました。源氏は、「このまま別れるのは忍びない」と六条御息所を訪問。六条御息所は、嵯峨野の野宮(さがののののみや)で潔斎(けっさい)する斎宮とともにいました。対面を渋る六条御息所に、源氏は榊(賢木)の枝を差し出し、歌を贈ります。別れの間際、教養に富んだ歌の贈答で、二人はこれまでのことを思い出し、感無量のひとときを過ごしました。
10月、病に伏していた桐壺院が重体となり、見舞いに訪れた朱雀帝に「自分亡きあとも源氏や東宮を重んじるように」と遺言します。朱雀帝の後ろ盾に、源氏につれない右大臣や弘徽殿大后(前・弘徽殿女御)がいることを知っての遺言でした。11月初め、桐壺院は崩御し、人々は嘆き悲しみました。桐壺院が案じたとおり、右大臣方の力が増してきて、源氏たちは次第に圧迫されます。
藤壺は、源氏を東宮の後見人として頼みながらも、以前と変わらずくり返される源氏の求愛に耐えかねて出家します。不安定な政情の中で、我が子を守るための決断でもありました。右大臣の六女、朧月夜は尚侍(ないしのかみ)に就任。朱雀帝の寵愛を受けつつ、源氏との関係も続いていました。春、源氏は、体調を崩して右大臣邸に里下がりしていた朧月夜を訪ねます。弘徽殿大后もいる邸ですが、逆境でこそ夢中になる癖のある源氏は密会を重ねました。ある雷雨の夜、とうとう密会の現場を右大臣に発見され、弘徽殿大后は激怒しました。
斎宮・・・伊勢神宮に使える未婚の皇女。
潔斎・・・斎宮が伊勢に下る前に宮中で1年、野宮(仮づくりの宮)で1年禊をすること。
尚侍・・・内侍司の最高位の女官。
伊勢へ下る六条御息所との最後のとき
二人の別れの場面では、初めに光源氏が榊を差し出し語りかけ、それにこたえるように六条御息所が歌を詠む。光源氏の魅力に抵抗できない女の心の弱さが伝わってくる。さらにそのあとの歌の応酬では、六条御息所の教養や技巧の高さがうかがえる。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 源氏物語』高木 和子
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 源氏物語』
高木 和子 監修
平安時代に紫式部によって著された長編小説、日本古典文学の最高傑作といわれる『源氏物語』は、千年の時を超え、今でも読み継がれる大ベストセラー。光源氏、紫の上、桐壺、末摘花、薫の君、匂宮————古文の授業で興味を持った人も、慣れない古文と全54巻という大長編に途中挫折した人も多いはず。本書は、登場人物、巻ごとのあらすじ、ストーリーと名場面を中心に解説。平安時代当時の風俗や暮らし、衣装やアイテム、ものの考え方も紹介。また、理解を助けるための名シーンの原文と現代語訳も解説。『源氏物語』の魅力をまるごと図解した、初心者でもその内容と全体がすっきり楽しくわかる便利でお得な一冊!2024年NHK大河ドラマも作者・紫式部を描くことに決まり、話題、人気必至の名作を先取りして楽しめる。
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