口が閉じられない魚「オニキンメ」のちょっと怖い生態【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】


深海では理にかなった風貌
いかにも深海魚らしい恐ろしげな風貌のオニキンメ。名前の通り、キンメダイの仲間ではありますが、その見た目は同じ仲間とは思えないほどかけ離れています。しかし幼魚の頃はキンメダイの特徴ともいえる大きな目を持ち、名前の由来でもある鬼のツノのような突起物が頭についています。成魚になるにつれて目は小さく、突起物も消えてゆきます。また深海魚には珍しく浮き袋も持ち、成長するにつれて小さくなります。
そしてオニキンメの最大の特徴は鋭利なキバ。成長に伴って発達し、成魚になると口からはみ出すほどの長さに。構造上口を閉じることができないため、口を開けたまま泳いでいます。
この上下についた鋭く大きなキバによって、獲物を逃がさず仕留められるのです。いつ獲物に出会えるかわからない深海の環境の中で、いかに獲物を捕らえられるか。そうした中でこのような進化を遂げたのでしょう。
しかし、そのいかつい顔つきには似合わず、体は全長の3分の2ほどしかなく、小さな胸ビレをパタパタと頑張って動かしながらかわいらしく泳ぎます。魚体は漆黒で、効率的に光を吸収できるため、発光する外敵がそばにきてもすぐさま光を吸収し見つけづらくしています。
深海を生き抜くために、ユニークな特徴をたくさん持った魚なのです。
オニキンメの幼魚の姿

【大きな目】
幼魚のうちはキンメダイの仲間にも見られる大きな目が特徴的。
【ツノのような突起物】
名前の由来にもなっている鬼のツノのような突起物は、幼魚の間だけあり、成長の段階でなくなる。
【魚体はオレンジ】
幼魚の間はキンメダイのようなオレンジ色の魚体。
成魚になったオニキンメ

【小さくなった目】
成長するにつれて目は非常に小さくなる。
【鋭利で大きなキバ】
成長の過程でキバは鋭く大きく発達し、口が閉じなくなる。
【漆黒の魚体】
幼魚の頃はオレンジ色だった魚体は黒色に変化。光を効率よく吸収し外敵から身を守る。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん
食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。
魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。
「最古の魚は5億年前! 魚類の誕生と進化」「魚は何を食べる?」
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「クジラ界にも「ヒット曲」があり、世界中の海で流行る」などなど
そんな魚のあらゆる疑問や意外な生態、誰かに教えたくなる雑学が詰まった子どもから大人まで幅広く楽しめる一冊です。
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