ホッキョクグマは9日間泳ぎ続ける!? 多才なアスリートクマの驚異のスタミナ【眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話】


足も速いし泳ぎも得意!多才なアスリート
巨体に似合わぬ驚異の運動能力
巨体を揺らしてのっそり歩く。そうしたクマのイメージはほんの一面にすぎません。彼らは生活環境に合わせて、驚くほどの運動能力を発揮します。
なかでも、ヒグマは走る・泳ぐ・登るの三拍子そろった万能選手。特に注目したいのが、時速40〜50kmという走力です。これは短距離走選手や自転車並みのスピードで、林のなかや起伏のある斜面でも速度を保ったまま走ることができます。泳ぎも達者で、川や湖を泳ぎわたるだけでなく、海を越えて離島に上陸した記録もあります。大きな前足を水かきのように使った、巨体に似合わぬなめらかな泳ぎ方をするのです。
そんなヒグマを超える泳ぎの達人が、ホッキョクグマです。氷に囲まれた北極圏で暮らすこのクマにとって、泳ぐことは移動手段であり、狩りのための必須スキル。カナダではGPS追跡されたメスの個体が、9日間かけて687kmを泳ぎ続けたという記録もあります。
もちろん、すべてのクマが万能というわけではありません。ナマケグマは、アリやシロアリを探してゆっくりと歩きながら暮らします。ジャイアントパンダもあまり動かず、竹を食べてのんびり過ごすのが基本スタイルです。彼らは走力や泳力に頼るのではなく、限られた食資源をうまく使う生存方法を選びました。
クマの走行スピード比較
● アメリカクロクマ:40〜50km/h、林のなかでも素早く動ける機動力の持ち主
● ヒグマ:40〜50km/h、短距離ダッシュに優れ、加速も力強い
● ツキノワグマ:30〜40km/h、中型で身軽。逃げ足が速いが、長距離は不向き
● ホッキョクグマ:30〜40km/h、氷の上でも安定して走れる
● マレーグマ:20〜25km/h、素早いが走行距離は短く、持久力に欠ける
● アンデスグマ:25〜30km/h、あまり速くはないが、必要に応じて素早く動く
● ナマケグマ:10〜15km/h、全体的に動きは遅く走ることはあまりない
● ジャイアントパンダ:20km/h前後、普段はゆっくり。驚いたとき小走りする
ヒグマは前足の筋肉が非常に発達していて、地面をつかむようにして力強く加速していきます。その姿はまさに “ 森の重戦車 ”。

クマの泳力比較
● アメリカクロクマ:うまさ ○ → 川や湖をわたり、水に慣れている
● ヒグマ:うまさ ○ → 川や湖、ときに海も泳ぎ、離島にわたることもある
● ツキノワグマ:うまさ ○ → アメリカクロクマと同等
● ホッキョクグマ:うまさ ◎ → 水中生活に適応。600km以上を9日間泳ぎ続けたという記録も
● マレーグマ:うまさ △ → 泳げはするが、あまり見られない
● アンデスグマ:うまさ △ → 泳げはするが、水辺での行動は少ない
● ナマケグマ:うまさ △ → 泳げるが不得意。水辺を避ける傾向あり
● ジャイアントパンダ:うまさ ○ → 泳げはするが、滅多に水には入らない
驚異的な持久力こそが、獲物を求めて氷の海を移動するホッキョクグマにとっての生き残りのカギといえるでしょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』監修:山﨑晃司
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 クマの話』
監修:山﨑晃司
世界中数多くの動物園で飼育され、アニメや漫画、ファンシーキャラクターのモチーフとしても起用されることの多い人気の動物「クマ」。
最近では日本全国で目撃が相次いで発生したり、温暖化の影響で冬眠をしないクマも確認されたりすることから、話題に事欠かない今大注目の動物です。
しかし、ペットとして飼うことは難しく、ときに人を襲う恐ろしい側面も持ち合わせるクマ。
それなのになぜ人間にとって馴染み深く身近な存在に感じるのでしょうか。
「クマは大体力士2人分の重さ」「死んだふりは意味ある?クマに出会ったときの対処法」
「ホッキョクグマは皮膚が真っ黒で毛が透明?」「年々増加している“新世代クマ”って!?」
「イエティとビッグフットの正体はクマ?」
愛玩動物、猛獣、食用、ワーキングアニマルなど、さまざまな角度からクマの生態と特徴を解説し、クマの知られざる魅力に迫ります。
これを読めばクマのことがもっと好きになること間違いなしの一冊です。
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