なぜ人の“悪いところ”ばかり見えてしまうのか?「ネガティビティ・バイアス」の正体【眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス】


人の悪い面にだけ目が行くのはなぜ?
【ネガティビティ・バイアス】
欠点に気づいたらもう止められない
他人の振る舞いや素行をどれほど気にするかは人それぞれです。少々のことなら気にならないし、気にしないようにしているという人も多いと思います。
しかし、社会的に好ましくないとされる行動を実際に目の当たりにしてしまうと、それをきっかけにバイアスがかかり、以後はその人の悪い部分にばかり目が行くようになってしまうことも……。このように相手のネガティブな行動をより優先的に認知し、評価に結びつけようとするバイアスのことを「ネガティビティ・バイアス」と呼びます。
では、ここでいうネガティブな行動とはどんなものでしょうか。暴力や盗みなどの犯罪行為は当たり前として、もっと身近なところでは他人の悪口をいう、自己中心的で周囲を顧みない、平然と嘘をつくなどが挙げられます。
食事中のマナーや乱暴な言葉づかいといった普段何気なくやってしまいがちな行動にも不快感を覚える人は意外と少なくありません。
普段は真面目で献身的な人であっても、それ以上に悪い部分を強調して評価してしまうのがネガティビティ・バイアスの怖いところです。特に最近はなんでも「◯◯ハラスメント」と名前をつけて大騒ぎしたがる風潮があるので、心当たりのある人は一度自分の言動をじっくり振り返ってみるべきかもしれません。
人は他人の不快な言動にばかり注目してしまう
ネガティブな行動や情報にばかり目が行き、
印象形成するバイアスを『ネガティビティ・バイアス』という

参考文献
- Baumeister, R. F., Finkenauer, C. V., Kathleen D. (2001). Bad is stronger than good. Review of General Psychology. 5, 323?370.
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』監修:高橋 昌一郎
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 認知バイアス』
監修:高橋 昌一郎
「認知バイアス」は物事の判断が、偏見や先入観、歪んだ情報・データ、個人的経験則・記憶、思い込みなどによって、非合理的になる心理現象。社会学(社会心理学)や経済学(経済行動学)、論理学、認知科学など幅広いジャンルで研究されている。
本書では、数ある「認知バイアス」から、「確証バイアス」「正常性バイアス」「同調性バイアス」「希少性バイアス」をはじめ「ハロー効果」「ダニング=クルーガー効果」「プロスペクト理論」「スリーパー効果」など、読者の関心や興味が強いと考えられるもの、身近で陥りやすい危険の高いもの、知っていると生活にも役立つものを中心に厳選して、図解でわかりやすく伝える。
フェイクニュースや詐欺的行為や犯罪が蔓延し、AI技術の向上などによって、「何が正しいか」わかりにくくなった現代の世の中で、賢く生きていくためには必須の知識!
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