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空にはどうしていろいろな色があるのか?【物理の話】

Text:長澤光晴

レイリー散乱

日中の空は青く、日の出や日の入り時の空は赤く見えるのはなぜでしょうか?

太陽光は白色の光です。白色光は、〈青〉〈緑〉〈黄〉〈赤〉などの様々な色の光が重なってできています。光は電磁波と呼ばれる波の一種で、青い光の波長は約450nm(ナノメートル:10億分の1メートル)、赤い光の波長は約750nmです。

普通、光はなにかに衝突などをすると、いろいろな方向へ進路変更させられます。この現象を光の散乱と呼びます。特に、光の波長の1/10より大きさが小さい粒子による散乱を、レイリー散乱と呼びます。地球の大気(空気)の主成分である、窒素や酸素の分子がこの小さい粒子というわけです。

レイリー散乱がなされやすい現象は光の波長の4乗に反比例します。赤い光と比べると、青い光は約8倍以上も散乱されやすいのです。

ここで本題の空の色について考えましょう。

日中、太陽光はほぼ真上からやってきます。すると、❸⒜のように

本来は観測者Bへ届くはずだった太陽光のうち、青系の光の一部が散乱によって斜めの方向から観測者Aに届きます。そのためAには散乱された光が届いた方向の空が青く見えるのです。

大気は、地表に近いほどの密度が高く、90%以上が地上から20㎞以下にあります。空を青く見せている散乱は案外低い高度で起こっているのです。

一方、日の出や日没の時間帯では、太陽光は高度の低い(空気の密度の高い)ところを長い距離を通ってAにまでたどりつきます。この過程で、青系の光は日中よりもさらに多く散乱されるのはもちろん、緑や黄の光の一部も散乱されやすくなります。そのため、❸⒝のようにAに太陽から直接届く光(朝日や夕日)には、赤色が極めて多く残るのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』
著者:長澤光晴  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1967年生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒業。北海道大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。東京電機大学工学部基礎教育センター・工学部環境化学科准教授、フランス国立極低温研究所(CRTBT)客員研究員(2001年)を経て、現在は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻教授。博士(理学)。日本物理学会所属。著書に『面白いほどよくわかる物理』(日本文芸社)がある。


水洗トイレ・冷蔵庫からジェトコースター、スケート、虹、オーロラ、飛行機、人工衛星・GPSまで身の回りにある物や現象のしくみが面白いほどよくわかる!文系の人でも理解できるよう、とにかくわかりやすく、またとにかく図を使ってうまく説明しました! 本書で扱ったテーマは、身の回りにそれとなくある物や現象です。それらの仕組みを知らなくても生きてはいけますが、知っていればなかなか楽しく暮らしていける、そんなものばかりです。物理の醍醐味は、いろいろな現象を少数の法則や定理そして少しの仮定で取り扱うことができるところにあると思います。

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