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心を落ち着かせて読経や写経を【般若心経】

Text:宮坂宥洪

般若心経への親しみかた

般若心経への親しみかたとしては、ほかのお経と同じく、読経や写経があります。262文字の短いお経なので、慣れない人でも読経や写経を行いやすく、初心者にもぴったりです。

それでいながら、何度も読経や写経をするほど、新たな味わいと、内なる自分への気づきが生まれます。そのように奥が深いお経です。

具体的な読経のやりかたは巻末で紹介しますが、ここでは基本的な注意点を述べておきましょう。

般若心経や、そのもとになっている般若経の教えは、一宗派に偏(かたよ)るものではなく、基本的には宗派を問わず用いられています。

ただし、浄土宗・浄土真宗は自力行(じりきぎょう)を廃するという理由から、また日蓮宗は「法華教」を最重視するという理由から、般若心経の読経は行いません。これらの宗派の檀家の方には、般若心経の読経はお勧めしません。どうしても唱えたいときには、声に出さずに行ってください。

読経するときは、経典に対する崇敬(すうけい)の念を持って、手を洗い、口をすすいでから行うようにしましょう。家で読経をするなら、仏壇に向かって行うのが最もよいのですが、仏壇がない場合は清浄な場所で行います。好きな仏像の写真を前に置き、花や木を供(そな)えるのもよいでしょう。

写経は、静かで清潔な場所で、やはり手や口を浄(きよ)めてから、心を落ち着けて行いましょう。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経』
著:宮坂宥洪 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
真言宗の僧、仏教学者。1950年、長野県岡谷市生まれ。高野山大学仏教学科卒。名古屋大学大学院在学中、文部省国際交流制度でインド・プネー大学に留学し、哲学博士の学位取得。岡谷市の真言宗智山派照光寺住職。

今、人気の空海(真言宗)をはじめ、最澄の天台宗、臨済宗、曹洞宗で読まれている「般若心経」。写経を中心に長く人気を博している般若心経だが、まだまだ「難しい」「よくわからない」といったイメージを持たれることも多い。今回は、現代語訳をしっかりと解説しつつも、私たちの実生活と結びつけながら、その思想や意図するところをわかりやすく解き明かしていく。