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否定語の底にある大切な意味【般若心経】

Text:宮坂宥洪

般若心経は何をいっているのか

般若心経を初めて見た人でも、お経の意味がわからない人でも、「空・無・不」という文字が多いことはひと目でわかるでしょう。

その印象から、なんとなく「ネガティブで悲観的なお経」だというイメージを持っている人も多いかもしれません。

個々の意味は第2章で解説していきますが、第1章の終わりに、般若心経には、なぜ否定に見える言葉がこんなに多いのかについて述べておきましょう。

般若心経には、わずか262文字のなかに、無が21回、不が9回、空が7回出てきます。

それらによって何を否定しているかというと、実は仏教の基本教理のすべてです。そもそもお経はお釈迦様の言葉なのですから、それによって仏教の教えのすべてを否定するというのは、本来ならばあり得ないことです。その真意はなんでしょうか。

基本教理は大切なものですが、それは、たとえるなら、遠くへ跳ぶぶための踏み台のようなものです。目的は跳ぶことであって、踏み台はそのための道具にすぎません。

跳ぶためには、踏み台を越えていかなければなりません。

「踏み台は大切で必要だけれど、いざ跳ぶときがきたら、それを乗り越えていかなければならない」ということを、般若心経のなかの、一見、否定語に見える文字群は示しているのです。

 

逆にいえば、般若心経のなかで否定されているものは、もともとはすべて必要なもの、なくてはならないものです。

その先のレベルに引き上げる意味で、般若心経はそれらを否定しているのです。

般若心経は、祈りの言葉(真言)を説くお経だといいました。

観音様が真言を教示する内容になっているからですが、その全体もまた、祈りの言葉になっています。

こうした二重構造を持つ般若心経の真意は、ずばり「祈りなさい」ということです。般若心経を唱えることで、どんな立ち位置、どんな修行段階にある人でも「より高みを目指せますよ」と教えてくれているのです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 般若心経』
著:宮坂宥洪 日本文芸社刊

執筆者プロフィール
真言宗の僧、仏教学者。1950年、長野県岡谷市生まれ。高野山大学仏教学科卒。名古屋大学大学院在学中、文部省国際交流制度でインド・プネー大学に留学し、哲学博士の学位取得。岡谷市の真言宗智山派照光寺住職。

今、人気の空海(真言宗)をはじめ、最澄の天台宗、臨済宗、曹洞宗で読まれている「般若心経」。写経を中心に長く人気を博している般若心経だが、まだまだ「難しい」「よくわからない」といったイメージを持たれることも多い。今回は、現代語訳をしっかりと解説しつつも、私たちの実生活と結びつけながら、その思想や意図するところをわかりやすく解き明かしていく。

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