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人と同じことをしていては、成功者になるのは難しい。だからこそ安易な近道を選ぶのではなく、価値ある取り組むべき事とは?【論語】

Text:山口謠司

子(し)曰(いわ)く、異端(いたん)を攻(おさ)むるは、斬(こ)れ害(がい)あるのみ。

<訳>先生がいわれた。王道といわれる道を学んでもいないのに、裏の道や別の道を専攻することは、害にしかならない。

異端とは、その世界や時代で正当と考えられている信仰や思想などから、はずれていることをいいます。異端児などといえば、その世界に新しい風を送り込み、規制の枠組みを壊してしまうような個性の強い人のことを指します。

異端という響きは、自由奔放さや新しいといった意味合いでとらえると、あまり悪いイメージにはつながらないのですが、邪道と言い換えると悪い印象が強くなります。

王道を学ぶことなく、邪道から物事に取り組めば、孔子ではなくとも害にしかならないということが理解できるでしょう。

物事は、まず正道から行くべきです。学問に王道なし、ともいうように、正しい順序で取り組むほかに近道はないのです。それは、いつの時代でも変わることのない、真理といってよいでしょう。

今の時代はとくに、人と同じことをしているだけでは、社会の成功者となることがむずかしい時代です。だからこそ、安易な近道を選ぶのではなく、正道を極めることに価値があります。

基礎力をしっかり身につけて、どのようなことも乗り越えられる力をもって新しいことに取り組めば、堂々とした人生を送ることができます。人生は短いようで長いもの、力を蓄えておくことが、宝となるものです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 論語』
監修:山口謠司  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1963年長崎県生まれ。博士(中国学)。大東文化大学文学部大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現大東文化大 学文学部中国学科准教授。 主な著書に『語彙力がないまま社会人になってしまった人へ』(ワニブックス)、『日本語を作った男 上田万年とその時代』(第29回和辻哲郎文化賞を受賞。集英社インターナショナル)、『日本語の奇跡〈アイウエオ〉と〈いろは〉の発明』『ん─日本語最後の謎に挑む─』『名前の暗号』(新潮社)、『てんてん 日本語究極の謎に迫る』(角川書店)、『日本語にとってカタカナとは何か』(河出書房新社)、『大人の漢字教室』『にほんご歳時記』(PHP 研究所)、『漢字はすごい』(講談社)、『語彙力のヘソ』(徳間書店刊)、『おとなのための 1 分読書』(自由国民社)など著書多数。


2500年の時を超え、「聖書」と並び読み継がれてきた孔子の言葉を著した『論語』。「人生最高の教え」と賞される、この全20章500余の短文から現代により通じる「珠玉の言葉」を厳選して紹介、図解でわかりやすくまとめた1冊!

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