夜中をまたぐ業務は泊まり勤務
朝早くから走り出し、深夜遅くまで走っている電車。駅員は、電車が走っていない時間帯にどうやって職場に向かったり自宅に帰ったりするのでしょうか。その答えは実に簡単。終電後は家に帰らず駅に泊まり、翌朝は引き続きその駅で勤務しています。基本的に駅員の夜中をまたぐ業務は泊まり勤務というわけです。一般的な会社では1日8時間労働ですが、駅員は9時~翌9時の2日にまたがる24時間のうち、16時間労働しています。残りの8時間は5~6時間ほどの仮眠時間や休憩時間です。
しかし終電から始発までの間は4時間ほどしかない場合が多いもの。そのため、駅員は基本的に終電を対応する人、始発を対応する人に分かれて業務を行っています。前者は終電の対応をしてから仮眠を取って6時ごろから勤務を再開し、後者は朝4時ごろから始発の対応をするといった具合です。ただ、小さな駅では、始発の時間に駅員がおらず、問題発生時には他駅がインターホンで対応する場合もあります。このように、終電や始発の仕事は基本的に泊まり勤務で対応していますが、私が以前職場の人に聞いた話では、地方の路線では終電後に車で帰り、始発までに車で出勤する場合もあるそうです。
終電対応時の駅員の勤務ルーティン
終電の対応をする駅員は泊まり勤務をしています。ここでは終電対応時の実際の勤務ルーティンを見てみましょう。
勤務開始 9:00
朝の通勤・通学ラッシュが落ち着く時間帯で、前日泊りで勤務していた駅員と交代し、勤務がはじまります。
帰宅ラッシュ~終電対応
ラッシュの時間帯にはできるだけ多くの駅員で利用者の対応にあたります。その後、適度に休憩をはさみながら終電まで利用者に対応します。
仮眠
終電後、駅構内を点検してから仮眠を取ります。朝4時ごろには、始発を対応する人が業務を開始します。
朝のラッシュ対応
朝の通勤・通学ラッシュに対応します。9:00には交代の駅員が到着し、泊まり勤務が終了します。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』綿貫 渉
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 鉄道の話』
綿貫 渉 著
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公開日:2023.07.19