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首都圏が大災害になる!近いうちに富士山が噴火する可能性はあるのか?【地学の話】

宝永噴火に匹敵する噴火があれば首都圏は大災害

富士山はいつ噴火しますか?これはよくある質問です。ですが、正確に答えるのは非常に難しいのです。まず、火山の噴火を予測する方法には、短期的な直前予測と長期的な予測があることを知っておいてください。マグマは高温の粘り気のある流体です。マグマが地下の通り道(火道という)を押し開きながら昇してくると、周辺の岩石が破壊されて地震が起こります。そのうえマグマが上昇してくると、マグマに押されて火山体が隆起します。

マグマは高温の流体なので、地下の電気抵抗が小さくなります。マグマが上昇してくると質量が増えるので重力が変化するほか、マグマからは二酸化硫黄などの火山ガス成分が放出されるため、その濃度が増大します。こうした現象を観測していれば、マグマが上昇してくることを予測できます。マグマが上昇してくる噴火直前の予測は、こうした観測によってある程度は可能です。

さて、富士山での観測ということでは、多数の観測機器が設置されています。ですので、噴火直前の短期的予測は可能と思われます。その意味で実例を調べると、1707年の宝永噴火では、噴火の数か月前から有感の群発地震が頻発していたことが記録に残っています。それでは、短期的予測ではなく、長期的予測は可能なのでしょうか?

噴火が規則正しく起きている場合には、噴火の長期的予測はある程度までできます。例えば、三宅島火山では、1963年噴火の20年後の1983年に噴火が起きました。次の噴火は17年後の2000年に起こったので、その噴火間隔は20〜17年です。したがって、今度の噴火は2017〜2020年ごろということになりますが、さて本当に三宅島火山は噴火するかどうかは、1〜2年後に答えが出るわけです。

これに対して、噴火間隔が不規則な場合には、噴火の長期予測も難しくなります。富士山では781年から1083年までの300年間、30〜70年ほどの間隔で噴火が繰り返されていました。ところが、1083年から1435年までは、350年ほど噴火がなく、その後、1511年に噴火してから宝永噴火の1707年までの200年ほど噴火がみられませんでした。このように、富士山の噴火は不規則なので、次にいつごろ噴火するかの予測は大変に難しいのです。もしかしたら明日噴火するかもしれないし、これからも長期にわたって噴火しないかもしれません。

宝永噴火は大規模な爆発的噴火で、大量の火山灰を噴き上げて、江戸でも4㎝ほど火山灰が積もりましたが、当時の神奈川県はそのほとんどがもっと厚い火山灰でおおわれてしまいました。しかも、噴火は半月余りも続いたのです。これに対して、活発に噴火していた平安時代には、噴火はすべて溶岩を流出する穏やかなものでした。

富士山の次の噴火が宝永噴火のような爆発的噴火なのか、それとも平安時代のように穏やかな噴火になるのかはよくわかりません。どちらもその可能性があります。しかし、もし宝永噴火のような爆発的噴火が起きた場合には、東京をはじめとする首都圏は、2週間余りにもわたって甚大な火山灰災害を被る可能性があります。その可能性を考慮し、政府も各自治体も、そして私たちも、富士山噴火に対する対策と準備は、はたしてできているのでしょうか?

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地学の話』

【書誌情報】
『図解 地学の話』
著者:高橋正樹 他

地学は「地球を対象とする自然科学」の学問。ジャンルが幅広く興味深い話題も多い。地球の誕生から、火山や地震のメカニズム、異常気象や天気図、地層・化石まで、「地球物地学」「火山学」「気象学」「地質学」の4テーマに分けて解説。図解で楽しくわかりやすく勉強になる1冊。

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