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肥満傾向児が40年で3~4倍に!増増える子どもの肥満を防ぐ方法とは!?【小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事】

Text:工藤紀子

子どもの肥満が増えている

子どもの肥満は大人の肥満のもと

ここ10年ほど、子どもの肥満の割合は10%前後をキープしています。2020年度の文部科学省の調査によれば、*²³8~17歳までの男の子における肥満傾向児の割合は、どの年齢でも10%を超えていました。同じ年齢の女の子においても、9%前後が肥満傾向児であることがわかっています。この数はこの40年で、3~4倍に増えています。

この背景には朝食を食べないこと、コンビニやスーパー、外食などで高脂肪・糖質の高いものを選んで食べる、ジュースや清涼飲料水からの糖質の過多、運動不足や生活環境などが挙げられます。

子どもの肥満がなぜよくないかというと、子どもの肥満は大人の肥満のもとだからです。幼児期の肥満の25%、学童前期の40%、思春期の70~80%が大人の肥満に移行します。とくに思春期の肥満は、体が完成する時期であり、また生活習慣が定着する時期でもあるため、肥満が定着し元に戻ることが難しくなってしまいます。だから、できるだけ早いうちから肥満にならないようにしたほうがよいのです。

子どもの肥満度の算出法

肥満度(%)=(体重-標準体重)÷標準体重×100 適正範囲は±10%

●幼児期:+15%以上「肥満」

●学童期以降:+20以上30%未満「軽度肥満」
+30以上50%未満「中等度肥満」
+50%以上「高度肥満」

出典:日本学校保健会「児童生徒等の健康診断マニュアル平成27年度改訂」

標準体重については、厚生労働省が行っている「乳幼児身体発育調査」、文部科学省が行っている「学校保健統計調査」の最新データを参照するとよいでしょう。

日本医師会「子どもの生活習慣病予防対策に関わる教育教材」

動脈硬化は子どもの頃から始まっている

動脈硬化、と聞くと壮年になってきてから起こるものと思っていませんか。大人の、それも高齢者のイメージがありますよね。ところが、肥満の子の場合、子どもの頃から動脈硬化の初期段階である血管内皮機能の障害や、病態に関与するアディポサイトカインというものが関わっていることがわかってきました。肥満は各種の合併症を伴いますが、とくに生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病、脂質異常症、高血圧などの原因となり、これらは動脈硬化を促進し将来的に心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクを高めます。お子さんに肥満傾向が見られるようなら、今日から予防対策を講じましょう。肥満傾向があるかは、成長曲線をつけることでわかります。

摂取カロリーは減っているのに肥満が増えるからくり

じつは、子どもの摂取カロリーは昔よりも減っています。なのに、どうして肥満が増えているのでしょうか。

理由のひとつに、食の欧米化があります。ハンバーガーやフライドポテトなどの高脂肪メニューを食べる機会が増え、脂質の摂取量も増えてしまったのです。また、テレビやゲームなどに費やす時間が増え、体を動かす時間が減ったことも要因です。

子どもの頃は生活習慣が定着していないので、肥満の傾向にあっても軌道修正が可能です。次に挙げる対策を取り入れて、肥満の予防・解消を目指しましょう。

肥満予防の対策

①早寝早起き朝ごはん
②1日60分以上、外で遊ぶなどして体を動かす
③ゆっくりとよく噛んで食べる
④食物繊維をしっかり摂取する

これらの対策を実践するポイントは、子どもが「これならできそう」と思えること、生活や行動を変えるとどうなるかを知ること。そして、よい変化が見えたら子どもをほめたり励ましたりすることです。

そのためには、大人が正しい知識を身につけて、子どもの行動をチェックすることが不可々。子どもが何らかの原因で食べすぎているようなら、さりげなく話を聞き、気持ちに寄り添ってあげることも大切です。

睡眠不足でも肥満になる !?

睡眠時間が短いほど、子どもの肥満リスクが上がることがわかっています。*²⁴1996年に富山県で行われた調査では、睡眠時間が8時間未満の子どもは、10時間以上寝ている子どもの2.87倍も肥満になるリスクがあると報告されました。

*²³文部科学省(2021)「令和2年度学校保健統計調査の公表について』

*²⁴Sekine Met al. TA dose-response relationship between short sleeping hours and childhood obesity: results of the Toyama Birth Cohort StudyJ Child Care Health Dev.2002;28:163-170

【出典】『小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事』著:工藤紀子

【書誌情報】
『小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事』
著:工藤紀子

子どもに栄養バランスのよい食事をいっぱい作ってあげたい、子どもには元気にすくすくと育ってほしいなどの思いに応えるため、子どもの体・脳・健康と成長をサポートするための知識やアイデアを紹介しています。「小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事」では、楽に楽しく安全にをモットーに、身近でさほど効果でない食材で食事の悩みを解決していきましょう。

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