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人間の目の水晶体はレンズ状だが、魚の目の水晶体が球状のワケとは?【物理の話】

Text:長澤光晴

入射角と相対屈折率――スネルの法則

水中で生活している魚の目の水晶体は球状の形をしていて、人間のレンズ状の形と大きく違います。

ここでは、魚の目の水晶体が球状のワケを考えてみましょう。

どの生き物の目でも、角膜と水晶体での屈折を上手に使って、光を網膜に誘導しています。屈折の法則(スネルの法則)によれば、異なる物質の境界面で起こる屈折の度合いは、入射角と相対屈折率(2つの物質の絶対屈折率の比)で決まります。

空気(絶対屈折率n0~1.0)から角膜(絶対屈折率は人間も魚もn1~1.4)への入射の場合、相対屈折率はn1/n0~1.4なので、角膜の絶対屈折率とほぼ同じです。しかし、水(絶対屈折率n3~1.33)から角膜への入射の場合、相対屈折率はn2/n1~1.05と、随分小さくなります。

人間が裸眼で水に潜ると、水中の物がボヤっとして見えづらく感じます。これは、目が水と触れていると空気のときと比べて屈折不足になり、網膜に映る物体の像がピンぼけ状態になっているからです。水中で物をよく見たければ、水中眼鏡を使って目を空気に触れさせておく必要があります。

魚の場合、目と水が接触していることによる屈折不足を球状の水晶体で補っています。

水晶体の大きさ(曲率半径)を小さくすることで大きな入射角を確保し、できるだけ多くの光を網膜に誘導しているのです。

また、ピントの調節を水晶体の前後の動きでする点も、地上の動物と少し違うところです。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』
著者:長澤光晴  日本文芸社刊

執筆者プロフィール
1967年生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒業。北海道大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。東京電機大学工学部基礎教育センター・工学部環境化学科准教授、フランス国立極低温研究所(CRTBT)客員研究員(2001年)を経て、現在は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻教授。博士(理学)。日本物理学会所属。著書に『面白いほどよくわかる物理』(日本文芸社)がある。


水洗トイレ・冷蔵庫からジェトコースター、スケート、虹、オーロラ、飛行機、人工衛星・GPSまで身の回りにある物や現象のしくみが面白いほどよくわかる!文系の人でも理解できるよう、とにかくわかりやすく、またとにかく図を使ってうまく説明しました! 本書で扱ったテーマは、身の回りにそれとなくある物や現象です。それらの仕組みを知らなくても生きてはいけますが、知っていればなかなか楽しく暮らしていける、そんなものばかりです。物理の醍醐味は、いろいろな現象を少数の法則や定理そして少しの仮定で取り扱うことができるところにあると思います。

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