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喫煙・飲酒・ウイルス!身の回りの発がん物質とは?【図解 病理学の話】

Text:志賀貢

身の回りには発がん性物質で溢れている

がんが発生する外因としては、喫煙、飲酒、食物(牛・豚・羊)、化学物質(発がん物質ともいわれる)・環境汚染、ウイルス、放射線などがあります。

また、内因としては、年齢、体格、遺伝子(家族性腫瘍)などいろいろあります。

ある職業についている人たちに多く発症するがんを「職業がん」といいます。世界で最初に発見された職業がんは、1775年にイギリスで発見された煙突掃除人のばい煙による陰のうがんでした。日本では1936年のガス炉工による肺がんが最初でした。

職業がんは、発がんを誘発する化学物質に直接触れたり、そのような環境で吸入したりすることで発症することが多くあります。

そのため、皮膚、肺、膀胱など、発がん物質が接触、吸入、排出される経路に多くみられます。近年、印刷会社で働く従業員に多発する胆管がんを、厚生労働省が「職業性胆管がん」として認定しました。

そもそも人類はいつごろからがんに悩まされてきたのでしょうか。世界最古のがんとしては、南アフリカのスワートクランズ洞窟で発掘された160〜180万年前の古代人類の足の指が「骨肉腫」にかかっていたという報告があります。

これまでに発見された化石からがんが見つかった例は非常に少なく、今のところ、古代人類が発症した最初のがんといわれています。

簡素な食事や現在の社会のように汚染されていない環境でもがんになったということは、がんの元である発がん物質が人間自身の体にあったと考えられます。

発がん物質には、直接的にがんを誘発する物質と、間接的にがんに変身する物質があります。間接的というのは、体内で代謝を受けて発がん性のあるものになる物質で、本来なら毒物を無毒化するはずの酵素が、逆に発がん性のある物質をつくってしまうことがあります。

直接的にがんを誘発する物質は「抗がん剤」です。DNAに結合してがん細胞を殺しますが、正常な細胞まで影響を及ぼす抗がん剤もあるのです。

このように抗がん剤や放射線による治療が原因でなるがんを「二次性発がん」といいます。

「放射線発がん」は、ある量を被曝したら必ず発症するというものではなく、突然変異を介した確率的な問題ですから、調査対象の数が多いほど正確になります。

「紫外線」も放射線の一種です。DNAを傷つけることによって発がんの原因になります。波長の長いUV-Aはエネルギーが弱いのですが、UV-Bは皮膚を赤くするような日焼けとDNAの損傷を引きおこし、皮膚がんを引きおこすとされています。

がんを発症させるおもな原因

飲酒
喫煙
遺伝子
医療行為
環境汚染
ウイルス
紫外線
食品添加物
食習慣
年齢

がんを発症させるおもな原因『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』

シリーズ累計250万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ

図解シリーズは、文章と分かりやすい図で解説という形で構成されているので、本が苦手な人にも理解しやすい内容です。

ピロリ菌の感染源『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』

図解シリーズには、健康・実用だけではなく大人の学びなおしにピッタリな教養のテーマも満載。さくっと読めてしまうのに、しっかりとした専門家の知識を身につけることができるのが最大の魅力です!

気になる中身を少しだけご紹介!消化管のおもな病気と症状とは?

放っておくとがんになる炎症とポリープ

消化管とは、口腔から始まり食道、胃、小腸、大腸を経て肛門までの食物の通路のことをいいます。食道から胃までを上部消化管といい、食道にみられる病気で、近年増えているのが食道の粘膜が炎症をおこした「食道炎」です。その症状は、胸部の痛み、下障害(飲み込みにくい)、胸やけ、 香酸、などがあります。食道炎の中で多いのが「逆流性食道炎」で、これまでは高齢者に多くみられましたが、最近では若い人にも増えてきました。放置すると潰瘍に進行し、食道がんのリスクも高くなります。便秘が原因のひとつとされており、食生活にも注意が必要です。肝硬変患者の3大死因のひとつとなっているのが「食道静脈瘤」です(そのほかは肝がん、肝不全)。食道粘膜の下層にある静脈が太くなり瘤のようになった状態です。これは「門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)」が原因となって発症します。「門脈」とは、腸で吸収された栄養素を肝臓に送り込む血管のことで、門脈を通して取り込んだ栄養は肝臓で処理されて全身に運ばれます。

しかし、肝硬変になると血液が流れにくくなり、それまで門脈を流れていた血液は、本来のルートからはずれて食道の血管を流れるようになります。食道への血流が多くなる結果、血管が船のようにふくれあがって食道静脈瘤になります。手当が遅れると瘤が破れ大出血してショック死をすることもある怖い病気です。胃の粘膜の炎症でおきる「胃炎」は、急性胃炎と慢性胃炎に分けられ、急性胃炎は喫煙、暴飲暴食、アルコール飲酒、ストレスが原因のものと、感染性(ブドウ球菌、アニサキス)があります。慢性胃炎はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)、や加齢などの複数の因子が絡み合っているとされます。胃の粘膜にポリープができる「胃ポリープ」には、放置しても問題のない「胃底腺ポリープ」、比較的ピロリ菌が下人でなることが多い「過形成性ポリープ」、正常組織よりがんを発症しやすい前がん病変と考えられている「胃腺腫ポリープ」などがあります。

消化官のおもな病気

口腔

歯周病・口の中の腫瘍・嚥下障害など

食道

食道炎・食道静脈瘤など

胃炎・胃ポリープなど

十二指腸

十二指腸潰瘍・十二指腸炎

小腸

クローン病・小腸腫瘍など

大腸

大腸ポリープ・潰瘍性大腸炎など

肛門

痔核疾患・痔ろう

消化管のおもな病気『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』

★生命の設計図といわれるDNA
★細胞には2通りの死に方がある!?
★貧血はどうして起きるの?
★がんって本当に遺伝するの?

などなど気になるタイトルが目白押し!

シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「病理学」について切りこんだした一冊。病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」です。コロナウイルスが蔓延する中で、人はどのようにして病気になるのかが、改めて注目されています。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊です。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 病理学の話』
著:志賀 貢

病理学とは「病(気の)理(ことわり)」の字のごとく、「人間の病気のしくみ」。細胞や血液、代謝や炎症、腫瘍、がん、遺伝子などと、人体のしくみ・器官、食事を含む生活、加齢などさまさまな環境との関連から、「病気」を解明するもの。専門書が多いなか、病気とその原因をわかりやすく図解した、身近な知識となる1冊。細胞、血液、がんーー生命の不思議と病気の原因を、面白くわかりやすく探る!

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