電気信号による情報の伝達
神経細胞たちが電気信号を発してやりとりしている
脳は、思考や感情を司るとともに、目や耳、鼻、口、全身の皮膚といった体内のさまざまな器官を総合的にコントロールし、生命を維持する大切な役目を担っています。脳の重量は約1.2 ~ 1.5 キロで、体重の2~3%ほどですが、食事で摂取したカロリーの約20%を消費しているといわれています。脳は起きているときはもちろん、寝ている間もエネルギーを使い続け、情報の処理や運動の指令など高度なことをしています。しかも、ほかの臓器と違って、ブドウ糖しか受け付けず、エネルギーをためておけません。そのため、ほかのどんな臓器よりも大食いで、血液中のブドウ糖が不足すると機能が低下してしまうのです。疲れると甘い物が欲しくなるのは、そのためです。
電気信号と神経伝達物質が感覚情報を伝える
ヒトの脳には全体で1000 億を超える神経細胞があるといわれ、脳と全身の神経はそれぞれの細胞が電気信号をやりとりして情報を伝えあっています。この信号を隣の神経細胞に伝える部分を「シナプス」といい、電気信号がシナプスまで伝わると、神経伝達物質と呼ばれる化学物質が出て、次の神経細胞に刺激が伝達されます。これをくり返すことで、皮膚や感覚器で得た刺激が感覚情報として脳に伝わるというしくみです。
また、一部の神経細胞にはところどころに絶縁性を持つ被膜がついていて、その部分をショートカットすることで、電気信号が伝わるスピードを速くしています。
シリーズ累計300万部を突破した「図解シリーズ」の読みやすさ
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気になる中身を少しだけご紹介!耳はどんなふうに働いて音を感じるの?
空気の振動を電気信号に変換させ聴覚を生む
いくつもの器官を通って脳に辿り着く
耳の最初の役目は、音を集めることで、そのはたらきをしているのは外側に張り出している「耳介」です。耳介は、音を集めるアンテナで形がぼこぼこしているのは、音を正確に聞き取るためだといわれています。音の正体は音波という空気の振動です。耳介で集められた音波は、外耳道を通り、その先にある「鼓膜」にぶつかると、今度は鼓膜を振動させます。振動は、鼓膜の先にある「耳小骨」というヒトの体のなかで最も小さい骨に伝わります。耳小骨の先には、渦巻き状の「蝸牛」があり、振動が伝わると、なかにあるリンパ液が振動し、蝸牛のなかにある有毛細胞をふるわせます。この有毛細胞はピアノの鍵盤のように音程順に並んでいて、感知した振動の内容を電気信号に変換します。それが神経を通って大脳に伝わり、音として認識されるのです。
耳が遠くなるのは、有毛細胞の衰えが原因
年を取っていくと、耳から入った音が脳に辿り着くまでの間に、さまざまな問題が発生するようになります。なかでも耳が遠くなる最大の原因は、蝸牛にある有毛細胞の衰えです。有毛細胞は蝸牛の入口に近いほど高い音、奥に行くほど低い音に反応するしくみになっていますが、どんな音も同じように入口から入ってくるので高い音を担当する細胞ほどダメージを受けやすくなります。そのためヒトは、年を重ねるごとに高い音から聞こえにくくなっていきます。
音波が聴覚に変わるしくみ
①音波が鼓膜に届き、鼓膜が振動する
②耳小骨が鼓膜の振動の力を増幅する
③ふるえが蝸牛のなかを巡り、電気信号に変わる
④電気信号が内耳神経を通って脳に伝わる
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【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 解剖学の話』
著:坂井 建雄
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公開日:2023.12.05