「糖質は太る」というイメージを持っている人は多いと思います。「糖質はそれほど摂らなくていい」「控えめにしたほうがいい」という風潮も、いぜんとしてあるように思います。しかし、真実は逆です。糖質が不足して低血糖になると、人間は死んでしまいます。人間にとってなくてはならないエネルギー源、それが糖質です。田んぼの用水が、稲の成長に必要な栄養分で常に満たされているように、人間の細胞も糖質というエネルギー源が十分にあるからこそ、元気でいられるのです。
世の中では、糖質制限食が話題になっていますが、安易に取り入れるのは考えものです。糖尿病という病気でもないのに、糖質を一切摂らないなど極端に制限するのはかえって危険です。
糖質は脂肪を燃やす
肥満を解消するためには、糖質は非常に重要な役割を果たします。糖質は脂肪を燃やすために必要不可欠で、脂肪は糖質なしでは燃焼できません。簡単に言うと、糖質は脂肪を燃焼し続けるための〝種火〟のような役目をしてい ます。よくマラソン選手が補給に糖質を摂るのは、走っているときに糖質が尽きてくると脂肪の燃焼も止まり、体が動かなくなるからです。
糖質を摂らないと筋肉が消費される
また、糖質不足が続くと筋肉を分解して、エネルギー源として消費される点も、覚えておいてください。本書でお伝えしてきたように、脂肪は深層筋で燃えるので、筋肉量が減ることもまた、肥満の解消に逆行しています。脂肪が燃えると体は引き締まってきますが、筋肉がなくなると、体型そのものがやつれた印象になりますし、実際に体も疲れやすくなります。
【書誌情報】
『肥満がいやなら 肺を鍛えなさい』
著:加藤雅俊 (薬剤師、体内環境師、薬学予防医療家)
肺の主な役割は「呼吸」と「血液循環」。酸素を含んだ血液を体内に循環させているが、十分に機能しないと不調を招く。
本書では、肺を鍛える方法として「肺ストレッチ」を提案。肺と血液の関係を説明しながら、その方法を紹介する。
公開日:2020.03.25