グリップを握るうえで最も大切なこと
グリップの握り方はいろいろありますが、極論すれば「力を入れずに握ること」が最も大切です。オーバーラッピングやインターロッキングといった〝形〟にばかり囚われてしまうと、グリップに力が入る原因になりかねません。しかし世間では、「グリップは力を入れて握るべきだ」と考えている人や、「グリップで力を抜いたら飛ぶわけがないじゃないか」と考える人、さらには「やわらかく握ってインパクトでボールに力負けしてしまったらクラブのヘッドがブレてしまう」と考えている人もいます。
つまり「グリップはしっかりと握らなければボールは飛ばない」という認識が大半を占めているのです。しかし、ここでの〝しっかり〟とは、どういう握りを指すのでしょうか。少し曖昧な表現ではないでしょうか? アメリカのプロツアーであるUSPGAツアーで、シニアプレーヤーになっても飛ばし屋として活躍するフレッド・カプルスは、こんなことを言っています。
「私はグリップをとてもやわらかく握っている。それがUSPGAツアーで飛ばし屋になれている理由だ。もしあなたが飛距離を伸ばしたいのなら、クラブがすっぽ抜けるほどやわらかく握ることだ。クラブがすっぽ抜けると思ってもなかなかすっぽ抜けないから安心してやわらかく握ってみることだ。また、私が極端なフックグリップにしているのは、これが私にとっていちばん居心地よく、力を入れずに握れるからだ」このようにグリップは、形から入るのではなく力加減重視なのです。
私がレッスンでよくやることがあります。生徒さんにグリップを持ってもらい、私がそのクラブを抜こうとしますが、ほとんどの生徒さんのグリップは抜けません。つまり、力を入れて握っているということです。そこで、今度は私がクラブを握って、それを生徒さんに引き抜かせると、簡単に抜けるのです。そのとき、彼らは決まってこう言います。「え? こんな握りの強さでいいんですか?」
それくらい緩くグリップを握ることが大切です。世間のほとんどのアマチュアゴルファーがグリップを力任せに握っています。「飛ばない」と嘆くゴルファーは100%、必要がないくらい強くクラブを握っている。グリップをやわらかく握ると、スイングの途中でクラブがすっぽ抜けて飛んでいってしまうことが怖くて仕方ないのです。クラブの構造上、そういったことはめったに起こるはずがないのですが……。本当にやわらかく握ることができれば、だれでもすぐにシングルプレーヤーにはなれるでしょう。
【書誌情報】
『動画解説版 グリップを直すだけでゴルフが変わるから「もう一度練習してみよう」と思える:動画でわかる、見つかる自分のベストグリップ!』
著者:松吉 信
ゴルフは自分の手でボールを打つのではなく、クラブで打つスポーツ。手は自分の身体とクラブをつなぐ唯一の部位だが、大半のアマチュアゴルファーはクラブや身体の動きに気を取られ、手元の感覚を軽視しがちだ。 そのことでミスショットが増え、スコアアップができないでいる。つまり、自分にとって正しいグリップで握っていないから思うようなショットが打てないのだ。 正しいグリップでなければ、身体のに歪みが出て余計な力が入り、スイングは崩れ飛距離も出ない。クラブの握り方が悪いままでは、いくらスイングを直そうとしてもゴルフの上達は無理ということだ。ということはグリップがよければゴルフがうまくいく、と言っても過言ではない。 この本は、ゴルファー自身にとって最適なクラブの握り方を見つけるための考えや方法を一冊にまとめたもの。その方法や身に付けるための練習ドリルを、QRコード付動画を中心にわかりやすく紹介する。
公開日:2021.05.01