創造とは、脳内の記憶情報を再編集すること
創造と聞いて、「0から1を生み出すこと」「無から有を生み出すこと」と考える人も多いでしょう。でも、これは間違いです。
私たちが、アイデアを絞り出そうとするとき、脳の前頭葉は、大脳新皮質の側頭連合野(側頭葉)というところに「こういうものが欲しいんだけど」というリクエストを送ります。
ここは大量の情報が蓄えられている記憶の倉庫。リクエストを受け取った側頭連合野は、倉庫のなかにしまってある膨大な記憶情報をさまざまに組み合わせ、編集して、イメージにいちばん近いものを前頭葉に届けます。
送られてきたもののなかから、「これだ!」というものを見つけるのが、創造するということです。
創造性というのは、多彩な情報を再編集して引き出す力であり、創造というのは思い出すことに似ているといってもいいでしょう。
さまざまな分野で人工知能(AI)が人間をはるかに凌駕する成果を出すようになり、人間に残された数少ない取り柄が創造性だといわれています。
この創造性を高めるうえで重要なのが、側頭連合野に蓄積された記憶の量と、前頭葉が「こういうものが欲しい!」とリクエストするときに描くビジョンの鮮明さではないかと考えられています。
そのために、まず、さまざまなことを経験して記憶する情報の量を増やしていくこと。そして、その経験を踏まえたうえで、「これまでにない、こういうものが欲しい!」という強烈なビジョンをもつことが大切になってきます。
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 脳の話』
著:茂木健一郎
シリーズ累計発行部数150万部突破の人気シリーズより、「脳」について切りこんだした一冊。「なぜ、脳から意識が生まれるの?」「ひと目ぼれは、どうして起きる?」「頭がいいって、どういう人?」人の脳は不思議でいっぱい。身近な疑問でナゾを解明! いまだに解明されない現代科学最大の謎といわれる脳。脳を知ることは、自分自身を知ることです。テレビや雑誌など、さまざまなメディアで活躍する脳科学者の著者が、脳の働きや仕組みを最新のトピックスや知識を使い、図解を交えてわかりやすく解説します。脳力を最大限に発揮させる方法から、「ひらめき回路」の鍛え方、、AI時代の脳の活かし方、脳の機能まで、疑問形式で楽しく読める脳の話が満載。仕事や学習、恋愛、人付き合いなど日常の生活でも役に立つ、脳のエンターテインメント教養本です。脳は自分を映す鏡。人工知能時代に負けない、ヒトの脳の大きな可能性がわかります。
公開日:2020.09.23