本人以外の心のケアも実施
1つ目の業務として、クライエントの関係者の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うというのは、「コンサルテーション」と呼ばれるものです。心理的アセスメントや心理相談と異なり、クライエント本人ではなく周辺の関係者に対して行われます。クライエントへの対応方法など困っていること、悩んでいることなどを聞き取って相談に乗り、必要に応じて助言や指導などを行います。たとえば、クライエントの家族、学校や会社の関係者に対して、クライエントとの接し方や対応方法について助言するといったことです。
最後の4つ目の業務、心の健康に関する知識の普及を図るための教育および情報の提供を行うというのは「心の健康教育」と呼ばれるものです。たとえば、学校や職場で心の健康に関する講習会を開くといった活動です。
もともと、公認心理師は『公認心理師法』第1条で、「公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする」とされており、日本の社会全体に対して、心の健康(メンタルヘルス)を保つための活動を行うことが求められているのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』
監修:湯汲英史
ADHDや学習障害、統合失調症やパニック障害などの言葉を耳にする機会はありますが、なんとなく心やメンタルの不調・病気と捉えてしまいがちな臨床心理学の分野。しかし紐解いていくと実はそれぞれの症状には特性や原因があり、子どもが抱えやすいのものから大人が抱えやすいものまで様々です。また、ストレスが原因で自分では気づかないうちに発症してしまうものも。本書ではそんな一見理解し難い「心の問題」の特性や症状を図解でわかりやすく解説します。最も大切なことはしっかりと特性を理解して自分と、そして他人と向き合うことです。「自分は他人がふつうにできることができない」「職場のあの人はどうも変に感じる」「子どもがじっとしていてくれない」こうした日常のもやっとした感情も、臨床心理学を知ることで理解が深まります。また、実際に現場で心の病気を抱えた人と向き合う公認心理士師の仕事についても紹介します。臨床心理学を通して「心の問題」について知ることで、自分や他人の特性がわかり、周囲と上手に付き合っていく方法を知ることができる一冊です。
公開日:2023.05.07