素人判断ではなく専門家に相談を!
近年、インターネットで情報を調べることが容易になり、心の病気に関する情報も氾濫しています。そのため、自分の症状を検索して、勝手な自己判断をするケースが見受けられます。インターネット上には、セルフチェック方式で、自分に心の問題があるかどうかを手軽に確認できるサイトがあります。しかし、こうしたセルフチェックは、代表的な症状に当てはまるかどうかをチェックしているだけで、目安にはなりますが、病名を確定することはできません。
たとえば、疲労やストレス、対人関係の悩みなどでちょっと気分が落ち込むことは誰にでもあると思います。そのようなとき、「うつ病」のセルフチェックをすれば、当てはまることが多くなるため、勝手に「自分はうつ病だ……」という誤った自己診断をしてしまうことで、見当違いな不安から余計落ち込んでしまったり、「病気だから仕方ない」といった勝手な思い込みを招いたりします。
逆にセルフチェックに当てはまらなくても、心の病気である可能性も十分考えられ、それによって適切な治療を受けるタイミングを逃し、病気を放置することで症状が重くなってしまう可能性まであるのです。
また、SNSなどでの言動から「おまえは統失(統合失調症)だ」といった勝手な決めつけをするケースが見受けられます。繰り返しになりますが、素人が病名を正確に診断できるわけもなく、単なる思い込みによる決めつけでしかありません。しかし、それを言われた側はどう感じるでしょう? 「自分は統失なのか……」と思い悩む可能性も少なからずあり、非常に無責任で悪質であると言わざるをえないでしょう。もし、「自分は心の病気ではないか?」と感じたら、公認心理師、精神科、心療内科へ相談して専門家の判断を仰いでください。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』監修/湯汲英史
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』
監修:湯汲英史
ADHDや学習障害、統合失調症やパニック障害などの言葉を耳にする機会はありますが、なんとなく心やメンタルの不調・病気と捉えてしまいがちな臨床心理学の分野。しかし紐解いていくと実はそれぞれの症状には特性や原因があり、子どもが抱えやすいのものから大人が抱えやすいものまで様々です。また、ストレスが原因で自分では気づかないうちに発症してしまうものも。本書ではそんな一見理解し難い「心の問題」の特性や症状を図解でわかりやすく解説します。最も大切なことはしっかりと特性を理解して自分と、そして他人と向き合うことです。「自分は他人がふつうにできることができない」「職場のあの人はどうも変に感じる」「子どもがじっとしていてくれない」こうした日常のもやっとした感情も、臨床心理学を知ることで理解が深まります。また、実際に現場で心の病気を抱えた人と向き合う公認心理士師の仕事についても紹介します。臨床心理学を通して「心の問題」について知ることで、自分や他人の特性がわかり、周囲と上手に付き合っていく方法を知ることができる一冊です。
公開日:2023.05.11