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老化すると誰もが白内障になる?白内障は日帰りで手術が可能【図解 老化の話】

Text:長岡功 野村義宏

歳をとるにつれて白内障になる可能性が高まる

白内障は、眼の中のレンズの役割をする水晶体が濁ってしまう病気です(下図)。白内障の原因の多くは加齢によるもので、早い人では40代から、50代で約45%、60代で75%、70代で85%、80代では100%の人が白内障を発症するとみられています。白内障の症状は、初期段階ではあまり自覚症状がなく、気がつきにくい疾患です。白内障が進むと、かすんだり、物が二重に見えたり、まぶしく見えるなどの症状が出現します。進行すれば視力が低下、眼鏡でも矯正不可となります。

水晶体の混濁による白内障

白内障は、歳を取れば誰にでも生じるため、眼の老化現象の1つと考えられますが、老化によってなぜ水晶体が濁って透明性が失われ、混濁にいたるのかは明らかになっていません。紫外線暴露、糖尿病、近視、アトピー性皮膚炎、外傷、放射線等の外的・内的要因によっても白内障は促進されるものの、主たる要因は加齢といえます。ですが、発症のメカニズムはいまだに解明されていないのです。水晶体は、主に水分とタンパク質で構成されています。発症機構は明らかではないものの、紫外線照射、酸化ストレス、加齢などによって水晶体構成タンパク質に構造変化が生じ、これらが白内障の一因であろうと思われています。

白内障の治療ですが、残念ながら一度濁った水晶体を透明に戻す薬は今のところ存在しません。ですので、進行した白内障に対しては、濁った水晶体を手術で取り除き、眼内レンズを挿入する手術加療が一般的に行なわれます。手術を検討する時期については、「視力の低下による仕事への支障」「外でまぶしくて極端に見えにくい」「矯正した視力が0.7以下となり、運転免許の更新ができない」などが考えられます。(参考:日本白内障学会ホームページ)。

白内障の手術は、水晶体の周囲の薄透明の皮(水晶体嚢)の前側の部分に穴をあけ、内部の混濁している水晶体を粉砕し、吸引します。その後、水晶体の代わりの人工水晶体を水晶体嚢に挿入します(下図)。人工水晶体には、乱視量を減らすものや、眼鏡のように1か所でなく数か所焦点が合う多焦点眼内レンズなどがあります。

白内障手術における人工水晶体の挿入

加齢は止めようがないものの白内障の予防法には、紫外線対策効果のあるサングラスやソフトコンタクトレンズ、体内の酸化ストレス産出の抑制のための禁煙、血糖コントロールなどが考えられます。目の打撲やケガ、放射線の被爆でも白内障の原因になるので、要注意です。白内障は、80歳でほぼ100%の人が発症し、徐々に進行する病気です。白内障による視機能の低下は生活の質にも影響するため、おかしいなと思ったらまず眼科医に相談してください。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功 野村義宏

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』
長岡 功 総監修/ 野村 義宏 監修

高齢化や平均寿命が伸びた社会では、「老化」は誰もが避けられない、しかし誰もが可能な限り抗いたいテーマ。その多くは人体の「老化現象」、またそれに伴う「諸症状」として、完全には克服できないまでも、原因やしくみを知ってうまく対応すれば、症状を「やわらげる」ことや、日常生活での「影響を少なくする」こと、また「目立たなくする」ことが可能である。本書では具体的に、老化にともなう病気・諸症状の原因に言及し、その対処・対策法を解説、紹介する。中高年以降の健康と美容の悩みを楽しく読めて、一気に解決する一冊です。

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