女性の性反応周期は変わる?
女性は、閉経すると性欲が強くなる場合もあれば弱くなる場合もあります。女性の体にも、男性ホルモンである“テストステロン”が分泌され、このホルモンは性欲に関連があるといわれています。テストステロンは副腎でつくられ、女性は男性の5~10%程度と少ない量ですが、血中濃度は安定しています。
更年期になると、女性ホルモンである“エストロゲン”の血中濃度が著しく低下するため、相対的に男性ホルモンが優位となり、性欲が強くなることもあります。また、妊娠の心配が無くなることも、心理的に性に対して積極的になる要因となるわけです。ところが、まったく逆に、更年期に入ってエストロゲンが低下すると、膣内分泌物の量が減少するために外陰の皮膚が乾燥して爛れ、“萎縮性膣炎”の傾向になります。これによる性交時痛のため、性欲が無くなってしまう例も見られます。
女性の性的活動は、「性欲」のほかに、「興味・関心」「性への覚醒」「オーガズム」「満足感」が含まれ、それらがお互いに密接に関係し合って増減するのです。一方で、閉経前後の更年期には、加齢にともなう身体的変化に加え、夫や子どもなどとの家庭内の問題や、職場における対人関係などの社会的因子がストレスとなり、性欲が低下してしまうこともあります。
そうではなく、家庭などが安定的な環境下では、性に「興味・関心」が湧き、「性への覚醒」が生じて「オーガズム」や「満足感」が得られることで、「性欲」がよりいっそう高まる好循環となります。閉経以後の性交は生殖を目的とするものではなく、また、性欲を満たすだけの衝動的なものでもありません。パートナー同士がお互いを思いやり、触れ合って癒し合うための「コミュニケーション手段」なのです(下図)。
性についても、双方向のコミュニケーションを持ち、女性の加齢にともなう身体状況や性に対する欲求を理解し合い、満足感の得られる良好な関係性を築いてゆくことが大切となるのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』監/長岡功
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 老化の話』
長岡 功 総監修/ 野村 義宏 監修
高齢化や平均寿命が伸びた社会では、「老化」は誰もが避けられない、しかし誰もが可能な限り抗いたいテーマ。その多くは人体の「老化現象」、またそれに伴う「諸症状」として、完全には克服できないまでも、原因やしくみを知ってうまく対応すれば、症状を「やわらげる」ことや、日常生活での「影響を少なくする」こと、また「目立たなくする」ことが可能である。本書では具体的に、老化にともなう病気・諸症状の原因に言及し、その対処・対策法を解説、紹介する。中高年以降の健康と美容の悩みを楽しく読めて、一気に解決する一冊です。
公開日:2023.05.17