冷蔵庫もエアコンも同じ仕組み?
最近は冷凍食品の人気が高いといいます。電子レンジで〝チン〟すれば簡単に食べられるから便利なんですね。それに味もよくなっている。冷凍技術の進歩があるからでしょう。その冷凍技術とはどんな仕組みでつくられているのか、ちょっと気になります。実は冷蔵庫の冷凍庫もエアコンと同じ原理だ、といったら驚きますか?
冷凍庫の中の食品を冷やすために、冷凍機というものがあります。低いところにある水を高いところに汲み上げるポンプと同じように、冷凍庫の中の低い温度の空気から熱を吸い上げて高い温度環境にその熱を汲み上げるのがヒートポンプで、これにより冷凍庫内を冷やします。
部屋を暖めるエアコンも外の冷たい空気から熱を吸い上げて、部屋の中にその熱を放出して部屋を暖めます。冷凍機も低温の冷凍庫の中の熱を吸い上げ、さらに冷やすのです。つまり、エアコンも冷凍機も、目的対象が違うだけで原理は同じというわけです。ところで、冷凍食品を解凍すると食感が悪くなったり、味が落ちていることがあります。これは、食品を冷凍するとき、じっくり冷凍すると細胞内の水が凍る際に膨張して細胞を破壊するため、解凍して使うときに味が落ちるからです。それを防ぐために冷凍庫の食品に冷気がまんべんなく当たるように送風機を入れ、空気をかき混ぜます。
ですが、それでも食品表面と内部との間には冷えるのに時間差が生じ、表面だけが乾燥してしまったり、内部の細胞が破壊されたりします。そこで最新冷凍技術では、食品内部の水を振動させ、すぐには凍らないように過冷却状態にし、食品全体を一瞬で凍らせる技術を使っています。こうした技術の進歩で、冷凍された寿司や生ものも味落ちしないようになったのです。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』著/望月修
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 すごい物理の話』
著:望月修
物理学は、物質の本質と物の理(ことわり)を追究する学問です。文明発展の根底には物理学の考えが息づいています。私たちの生活の周辺を見渡しただけでも、明かりが部屋を照らし、移動するために電車のモーターが稼働し、スマートフォンの基板には半導体が使われ、私たちが過ごす家やビルも台風や地震にも倒れないように設計されています。これらすべてのことが物理学によって見出された法則に従って成り立ち、物理学は工学をはじめ、生命科学、生物学、情報科学といった、さまざまな分野と連携しています。……料理、キッチン、トイレ、通勤電車、自動車、飛行機、ロケット、スポーツ、建築物、地震、火山噴火、温暖化、自然、宇宙まで、生活に活かされているもの、また人類と科学技術の進歩に直結するような「物理」を取り上げて、わかりやすく図解で紹介。興味深い、役立つ物理の話が満載の一冊。あらゆる物事の原理やしくみが基本から応用(実用)まで理解できます!
公開日:2023.06.04