「前後軸」のイメージをしっかり持とう
3つの軸のうち、「垂直軸」は文字どおり地面に垂直な軸です。ゴルフスイングの「軸」というと、まずこれをイメージする方がほとんどでしょう。実際、スイング中に上体はこの「垂直軸」に対してもっとも大きく回転するので、プレーヤーが意識しやすい軸でもあります。
しかし、垂直軸だけの回転運動をしようと思ったら、野球のバットスイングのような水平回転にしかならないので不十分ですし、何よりこの「垂直軸」だけでスイングを考えたのでは、「フォース」をうまく利用することができません。
そこで重要なのが、「前後軸」です。この軸に沿った回転は、スイングを正面から見たときに、側転するようなタテ方向の回転になります。実際は足が地面についているので、腰や上体を左右に傾けるような動きが主体になります。
この「前後軸」の動きは、実際のゴルフスイングには欠かせない動きですし、「フォース」を生かすうえでも非常に重要な役割を担います。しかし、多くのアマチュアゴルファーがほとんど意識しておらず、同時に上手く行えていない動きでもあるので、
とくに意識してほしいポイントでもあります。
前後軸の動きをイメージするには、上体を極端に深く前傾してスイングしてみるとわかりやすいと思います。両肩がシーソーのように上下する動きが特徴的です。「ダウンスイングで右肩が下がるとダフってしまう」という誤解をしている人も多くいますが、それは大きな間違いですので注意してください。
最後の「飛球線方向軸」は、ほかの2つの軸と比べるとスイング中の動きは小さく、重要度も低い軸回転です。具体的には、ダウンスイングで下りてくるクラブの遠心力と拮抗するように、クラブと引っ張り合う形で使われるのがメインですが、これに関してはひとまず「そういった動きがある」という程度の理解にとどめておいても問題ありません。
まずは「垂直軸」と「前後軸」、この2つの軸をしっかりイメージし、分離して考えるようにしてください。
【書誌情報】
『フォース理論で飛ばす! 世界基準の飛距離アップ術』
著者:吉田洋一郎
飛距離アップの方法として、腕力に任せてクラブを思い切り振ること、そのために筋力トレーニングが必要と考えるゴルファーが多い。ただ、これは勘違い。飛ばすためには力んで振ってもダメですし、トレーニングによって直接的にスイングがよくなるわけではないのです。だからこそ、筋力に頼らないスイングを目指すほうが効率的といえます。では、飛距離アップには何が必要か。それが本書のテーマである「フォース」なのです。「フォース(FORCE)」とは英語で、「力」という意味。スイングに関わるすべての力で、筋力だけでなく、重力、反力、遠心力など自分の外にあるエネルギー(外力)も含んでいます。この本では、「フォース」を効率的に使ってスイングスピードを上げ飛距離を伸ばす方法を紹介。外力の中でも「地面反力」「遠心力」「反動」「ミッドハンドフォース」の4つに焦点を当て写真、図版を多用して解説しています。また、アマチュアゴルファー4人に著者が実践レッスン。「フォース理論」に基づく指導を1カ月行い、その成果も収録しています。
公開日:2020.07.22