ストレスの多い人ほど腰痛に!?
ストレスや不安、うつ状態などの精神的な不調が引き起こす痛みを心因性疼痛といい、そうした原因による腰痛を「心因性腰痛」と呼びます。主な特徴は次の通りです。
●一般的な腰痛は姿勢や体勢で痛み方に変化があるが、心因性の場合はどんな姿勢をとっても痛い。
●骨や筋肉に問題がないため、レントゲンやMRIでは異常がなく、原因が特定しにくい。
●神経ブロック注射や鎮痛薬があまり効かない。
では、どうして心の状態と腰痛が結びつくのでしょうか。そのメカニズムはいくつかあります。
●痛みを抑えるドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が、心の問題を抱えることで分泌されにくくなり、わずかな痛みでも強く感じるようになる。
●過剰なストレスが脳にある前頭葉の一部、DLPFC(背外側前頭前野)の誤作動を招き、痛みがなくても痛みを感じるようになる。
●ストレスなどで自律神経のバランスが乱れて交感神経の優位な状態が続くと、痛みに敏感になったり、筋肉が緊張したりすることで腰痛になる。
これらのうち、自律神経に起因する例が少なくないと私は考えています。心因性腰痛はレントゲンなどには写らず、薬や注射はほぼ効果がありませんが、原因となる心理的な障害の除去、環境の改善などでよくなる場合がほとんど。自分が心因性腰痛なのかをチェックしてみましょう。
心の乱れが腰痛を引き起こす!?
精神のトラブルや疾患が腰痛となって表れることがあります。 特に慢性の腰痛は 「心因性の要因が強い」 ことがわかっています。
心因性腰痛の要因はストレス・不安・うつ状態・パニック障害
会社に行きたくない、人間関係で悩んでいるなど、 様々な心の葛藤が腰痛を引き起こします。 ストレスが多い人ほど腰痛が長引く傾向も。
心因性腰痛になりやすい人
ストレスフルな生活をしている人。まじめで几帳面な人。精神科疾患 (うつ病やパニック障害など)を有する人。など
心因性腰痛はどんな治療法があるの?
原因となっているストレスや不安を解消すると、速やかに改善します。慢性的な場合に抗うつ薬が有効なこともわかっています。
出典:『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』著/吉原潔
【書誌情報】
『専門医がしっかり教える 図解 腰痛の話』
著:吉原潔
今や4人に1人が悩んでいるとも言われる国民病である『腰痛』。ぶつけた、痛めた、ぎっくり腰といった原因がハッキリしている腰痛だけでなく、『脊柱管狭窄症』『椎間板ヘルニア』『ぎっくり腰』などによる痛みや、病院で検査しても特に異常が無いと言われるものまで、痛みの原因は多種多様にあります。しかし、そんな痛みに対して痛み止めや筋弛緩剤などの薬で対処療法だけをしていても根本の治癒にはなかなか繋がらないため、しっかりと『腰痛の原因』と向き合うことが大切です。本書ではそんな腰痛を治して、長い人生を痛み無く健康に過ごすために、『脊柱脊髄外科専門医』と『フィットネストレーナー』という2つの肩書を持つ腰痛の名医による、腰痛が治らない意外な原因と、骨と筋肉にアプローチする自宅でできる腰痛のセルフケア法を紹介します。
公開日:2023.07.12