東南アジアが成長著しいのはなぜ?【図解 地理と経済の話】
農作物の輸出から工業化へ
東南アジアでは、日本のように稲作が盛んに行われています。稲作に必要な条件は、水はけのよい土地と、気温が高く雨が多いこと。アルプス・ヒマラヤ造山帯と環太平洋造山帯が集まり、肥沃な火山灰土壌が広がる東南アジアは、まさに稲作に最適の土地といえるでしょう。火山由来の土壌は、浸透性と保水性に優れているからです。また、熱帯モンスーン(季節風)の影響で年間の降雨量が多いのも特筆すべき点です。このような環境の助けもあり、東南アジア地域は多くの人口を抱えるようになりました。
植民地時代の東南アジアは、輸出用の単一品種を栽培するモノカルチャー社会でした。天然ゴムやコーヒー豆といった輸出用作物を、プランテーションと呼ばれる大規模農園で栽培し、利益を得ていたのです。特定品種に依存する、リスクの高い状態といえます。
戦後、東南アジアの国々は宗主国からの独立を果たしました。依然としてモノカルチャーを続ける国もあるものの、外国企業を積極的に誘致して、確実に域内の工業化が進められています。ASEAN(東南アジア諸国連合)の加盟国も増え、自由化の好影響も出はじめました。現在、東南アジア諸国は急速な経済発展のさなかにあり、その影響力は世界的にも無視できないものになってきています。
出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある
累計300万部突破!『眠れなくなるほど面白い図解シリーズ』経済ジャンル最新刊、世界のニュースもお金の流れも、地理がわかればもっと面白い!『地理と経済の話』
昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
・インドでIT産業が特に発展したのはなぜ?・天然資源に恵まれたアフリカがなかなか成長できなかったのはなぜ?・中国やインドに続いて今後さらに伸びていく国はどこ?・中東で大量の石油が採れるのはなぜ? これらはすべて「地理」で説明ができます。今の世界情勢からこの先世界がどう動いていくかまで、世の中の流れがわかるようになる「経済地理学」が面白く学べる一冊です!
公開日:2024.10.24