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災害の起こりやすさと貧困は切っても切り離せない?!恒常的に起きる自然災害の脅威と発生地の特徴とは?【図解 地理と経済の話】

Text:著者:井田仁康

災害の起こりやすさと貧困は切っても切り離せない【図解 地理と経済の話】

自然災害の脅威に常にさらされている

バングラデシュは、かつて世界最貧国といわれていました。しかし近年、高い経済成長率を維持するようになり、所得水準も上昇、貧困層はかなり減少しています。それでも、貧困国からなかなか抜け出せずにいるのが現状です。

バングラデシュは、パドマ川(ガンジス川)、ジャムナ川、メグナ川という3つの大河と、その支流によって形成されるデルタ地帯(三角州)が、国土の大部分を占めています。また、これら河川の下流に位置するため、隣国インドから大量の水が流入してきます。

災害の起こりやすさと貧困は切っても切り離せない【図解 地理と経済の話】

熱帯モンスーン気候の影響を受け、年間降水量の70%の雨が4カ月間に集中。また、国外から流入する水も国内降水量の4倍に達します。低平地の国土は長期間、洪水に見舞われ、農地も大半が水没。となれば、国民の半数近くが農業に従事するバングラデシュにとって経済への影響は大きいものがあります。

洪水だけでなく、ベンガル湾で毎年のように発生する高潮を伴ったサイクロンの被害も大きく、1970年には最大50万人が、1991年は14万人が犠牲になりました。日本の4割ほどの面積に1億6,000万人の国民を抱える、人口的ポテンシャルの高い国ですが、なかなか貧困国から抜け出せないのはこうした自然災害への脆弱性があるためなのです。

災害の起こりやすさと貧困は切っても切り離せない/自然災害の脅威に常にさらされている【図解 地理と経済の話】

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 地理と経済の話』
著者:井田仁康
著者プロフィール
井田仁康:筑波大学名誉教授。博士(理学)。1958 年生まれ。日本社会科教育学会長、日本地理教育学会長などを歴任し、日本地理学会理事。筑波大学第一学群自然学類卒。筑波大学大学院地球科学研究科単位取得退学。社会科教育・地理教育の研究を行っている。著書や編著書に『読むだけで世界地図が頭に入る本』(ダイヤモンド社)、『世界の今がわかる「地理」の本』(三笠書房)などがある

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昨今、地理的条件から政治を分析する「地政学」が注目を集めています。国土の形や立地、隣国との位置関係や気候などから、政治的・軍事的な影響を研究する学問で、世界情勢を紐解くうえで欠かせない考え方といえます。実は、地理は政治だけでなく、経済にも大きく関わっています。一見繋がりが見えにくい地理と経済の話ですが、
・インドでIT産業が特に発展したのはなぜ?・天然資源に恵まれたアフリカがなかなか成長できなかったのはなぜ?・中国やインドに続いて今後さらに伸びていく国はどこ?・中東で大量の石油が採れるのはなぜ? これらはすべて「地理」で説明ができます。今の世界情勢からこの先世界がどう動いていくかまで、世の中の流れがわかるようになる「経済地理学」が面白く学べる一冊です!

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