『歎異抄』のタイトルに込められた意味とは? 3文字の漢字を読み解く【眠れなくなるほど面白い 図解 歎異抄】


『歎異抄』… 漢字の字源と意味
『歎異抄』の3つの漢字のそれぞれの字源をひも解いてみましょう。
「歎」…字の右側の「欠」は口を開けて息を吐くさま、嘆くようなさまを表しています。「歎」は困難な状況に心を痛めてため息を吐くという意味があります。
「異」…普通とは異なる、違うという意味があります。
「抄」…「手」と「少」という字から成り立っているように、手で少しだけ摘み出す意味となります。
以上のことから、『歎異抄』というタイトルには、親鸞聖人の教えとは「異なる考え方=異」が登場したことに心を痛め、「このままではいけないという嘆き=嘆」、親鸞聖人の教えの中から「大事な部分だけ抜き出した=抄」書物であるという意味があります。
つまり『歎異抄』というタイトルは、親鸞聖人の教えが誤解されてしまうことを心配した弟子の唯円が、親鸞聖人の教えから重要な部分だけを抜き出してまとめた本ということになります。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 歎異抄』監修:山口謠司
【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 歎異抄』
監修:山口謠司
「善人なおもって往生を遂ぐ。いわんや悪人をや」――親鸞の死後に弟子の唯円が師の言葉をまとめた「歎異抄」。
仏教書の中でも、現代に必要とされる「安心」と「他力本願」の奥義がわりやすく、生きる力や癒やしにつながると根強い人気があります。700年以上前に親鸞が説いた、この今を生き抜くための名言には、「生きることはどういうことなのか」「信じた道をつき進めるか」「悪人こそが救われる」などという内容の言葉が書き起こされていますが、それは逆説的な意味合いを込めた、「明日を生きる力がわいてくる珠玉の名言」なのです。
日常生活に大いに役立つ歎異抄の世界。語り継がれる親鸞聖人の言葉は、現代社会に大きな影響を与えているといってもいいでしょう。
本書は歎異抄の世界をひもとき、親鸞聖人の考え方をどのように応用すれば、厳しい現代社会を生き抜くことができるかを、図やイラストをふんだんに使い、わかりやすく解説した一冊です。