すべての雲は10種類に分類できる!? 国際基準に基づく雲の世界【最新の国際基準で見わける 雲の図鑑】

雲の分類【雲は10種類に分けられる】

雲の分類には万国共通の指針がある

空に浮かぶ雲は、さまざまな姿をしていて、同じ形のものは2つとありません。それを分類するとなると、文字通り「雲をつかむような話」です。この課題に挑んだ第一人者がイギリスの気象学者、ルカ・ハワード。ハワードは、巻雲(繊維状)、積雲(もくもくと垂直に発達)、層雲(べったりと水平に広がる)の3つの基本形を定め、7種程度に分類しました。

その後さまざまな研究が行われ1896年には国際気象機関(WMO)から初めての雲分類の指針(『国際雲図帳』初版)が出版されました。国際雲図帳は、幾度かの改訂を経て、本書の出版時現在の最新版は2017年版です。

すべての雲は10種類のどれかに分類される

研究の結果、すべての雲(対流圏内に発生し、日々の天気変化に影響を与えるもの)は、

①雲の浮かぶ高さ
②雲の性状
③降水の有無

という観点から、たったの10種に集約できることがわかりました。この基本となる10種は、日本では十種雲形と呼ばれています。『国際雲図帳』では類(genera)といいます。

10種の雲は、巻雲、巻積雲、巻層雲、高積雲、高層雲、乱層雲、層積雲、層雲、積雲、積乱雲です。名前に使われている漢字は、高、巻、積、層、乱の5つで、この組み合わせで雲の性質を端的に表しています。

細分類も活用して詳しく特徴を記録しよう

『国際雲図帳』にもとづく雲分類では、まず、十種雲形のどれに当てはまるかを決めます(必須)。

そして、それぞれの雲について、より細かい特徴を「細分類」としてリストアップしています。このなかから、該当する特徴をすべて選び、後ろに列記していきます(任意)。正式名だと長くなってしまうため、略号による表記も可能です。

たとえば、十種雲形は高積雲(Ac)で、細分類の特徴として層状雲(str)、半透明雲(tr)、すきま雲(pe)、波状雲(un)が認められる場合は、Ac str trpe un(略号形式)となります。

細分類は大きく、見た目の形に注目した 種(species)、雲の並びや厚さに注目した変種(varieties)、 部分的な特徴に注目した補足雲形(supplementary features)、そして本体の雲に付属する小雲を記した付属雲(accessoryclouds)の4つのカテゴリーに分けられています。

●雲名に使われる漢字が意味すること

【出典】『最新の国際基準で見わける 雲の図鑑』著:岩槻秀明

【書誌情報】
『最新の国際基準で見わける 雲の図鑑』
著:岩槻秀明


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