ナマズの味蕾は20万個!全身センサーの超感覚魚【眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話】

獲物を捕らえる全身の“レーダー”

ナマズといえば、ヒゲが生えた顔やぬるぬるした体が特徴的。肉食で、小魚やエビなどの甲殻類はもちろん、昆虫やカエルまで、口に入るものなら何でも食べてしまいます。ナマズは河や沼などの泥底に棲むため、濁った水の中で視界がほとんど利きません。それでも獲物を探し、的確に捕らえることができます。その秘密は、ナマズの驚くべき「味覚」にあるのです。

ナマズは、味覚が非常に優れています。人間が味を感じるのは、舌の上表面の粒々にある「味蕾」という器官。一般的な魚も主に口の中に味蕾があります。しかし、ナマズはこの味を感じる味蕾を全身に持っています。その数は、なんと約20万個。これは一般的な魚のおよそ1万倍、人間のおよそ20~40
倍にもなり、脊椎動物でもトップクラスの数を誇ります。

それだけではありません。このナマズの味蕾は、水中に漂うわずかな味を察知して、味の濃い方向へ進むという、獲物を探し出すレーダーのような役割をしているのです。加えて、ヒゲと尾ビレ付近のそれぞれの味蕾に味が伝わる時間差をキャッチして、獲物の位置まで割り出せるというから驚きです。

このようにしてナマズは、濁った水中や夜間でも視覚に頼らず、効率よく獲物を捕らえることができるのです。

全身に広がるナマズの“舌”

ナマズの体表全体に分布する味雷

ナマズは、味を感じる器官である「味蕾(みらい)」を全身に20万個も持つ。これは脊椎動物(魚類や哺乳類を含む背骨のある動物)の中でもトップクラスの数。

とくにヒゲには味蕾が密集し、1mm四方あたり15以上もの味蕾がある

味蕾は獲物の位置を特定するのに役立つ

ナマズは水の流れに乗ってくる獲物の味を全身の味蕾で感じ取る。たとえば、ヒゲの味蕾で先に味を察知し、少し遅れて尾ビレ付近で感じた場合、獲物はヒゲの方向にいるとわかる。味の濃いほうへと進んでいき、獲物の位置を正確に割り出していく。

【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』監修:さかなのおにいさん かわちゃん

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 魚の話』
監修:さかなのおにいさん かわちゃん

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食べること、飼うこと、水族館などでの鑑賞など、日本人にとって身近な生物の“魚類”。

魚類は生き物にしては珍しく、大きさや形、色、生息地域もさまざまなので、個体ごとの身体的特徴も大きく変化します。
また、食用としての魚と観賞用としての魚、漁業などのビジネスとしての魚では注目するポイントが異なるため、色んな角度から見ることができる面白い生物です。

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