三国に二輪草が咲いていた!幻の「もうひとつの擬洋風建築」を初公開!豪商の3階建て邸宅が芦原温泉に移築された数奇な運命とは?

福井・龍翔博物館で特別展開催!龍翔小学校の陰に隠れた「中利の三階建て」

福井県坂井市の龍翔博物館にて、秋の特別展**「文明開化の華~龍翔小学校とエッセル堤~」が開催中です(12月7日まで)。この特別展で、これまで地元でもほとんど知られていなかった明治期の“もうひとつの擬洋風建築”**が初公開され、注目を集めています。

それは、海運業で財をなした豪商**「橋本利助(通称:中利)」**の三階建て邸宅です。

展望室、アーチ屋根、洋風ランプ…豪華な和洋折衷

三国の文明開化のシンボルといえば、誰もが知る五層八角形の**「龍翔小学校」**ですが、今回の調査で、ほぼ同時期(明治前期)に、龍翔小学校と並び立つ豪華な擬洋風建築が存在していたことが明らかになりました。

明治前期から大正前期にかけて三国にあった中利(橋本利助)の擬洋風建築邸宅の写真=個人蔵

  • 構造: 三階建てで、アーチ状の瓦ぶきの屋根を持つユニークな和洋折衷の豪華な建物。
  • 特徴: 三階には九頭竜川の川湊を見渡す展望室が設けられていました。当時の新聞記事にも「同港一等の大廈西洋作り三階」と記されており、格式の高さがうかがえます。
  • 数奇な運命: 橋本家の衰退後、その三階展望室部分が、なんと近隣の芦原温泉の旅館**「つるや」にそのまま移築**され、温泉客の展望室として活用されていたという数奇な歴史を辿っています。

館長は「これまでは龍翔小学校が一輪草のようだったが、実は二つの花を咲かせた二輪草であったという発見は、三国の近代史を語る上で重要なポイント」と語っています。


アーチ型屋根、鉄製の柵、吊り下げ洋風ランプなど和洋折衷の豪勢な邸宅であった橋本家の屋敷(撮影年代不明)


龍翔小学校と橋本家(数字4.)の両方が写る三国の風景

芦原温泉の旅館「つるや」に移築された中利の三階建て展望室。その後の芦原大火で焼失した

エッシャー直筆の「三国港突堤」図面も一般初公開!

特別展のもう一つの目玉は、オランダ人技師G.A.エッシャー直筆による**「三国港突堤(エッセル堤)」の工事関連図面6点**です。

  • エッシャーのひ孫から同館に寄贈されたこれらの図面は、今回が一般向け初公開となります。
  • 綿密な指示が記入された断面図や、石材運搬方法の解説図を立体化した模型も展示され、文明開化を支えた土木技術への並々ならぬ意欲が伺えます。

石材運搬方法の解説図面を、かとうさんが人形などで立体化した模型

ガラスケースに展示されている、ヨリス・エッシャー氏から寄贈された「三国港突堤(エッセル堤)」の図面資料。一般向けには初公開

特別展 概要

  • 名称: 特別展「文明開化の華~龍翔小学校とエッセル堤~」
  • 会期: 2025年12月7日(日)まで
  • 会場: 龍翔博物館(福井県坂井市)
  • 講演会: 11/16、12/7にそれぞれ館長・学芸員による講演会あり(入館料必要)。

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